きみは硝子のゼラニウム




放課後、昇降口の扉を押して外に出た瞬間、ひんやりとした空気が頬に触れて、思わず肩をすくめた。


雪はもうやんでいるのに、朝よりもほんの少しだけ白さを増した地面が、街灯の光を受けて静かにきらめいている。

こんなに綺麗なのに、胸の奥はどうしてこんなに重たいんだろう。


期末テストに向けて机に向かっていた時間は、気づけばあっという間に過ぎていて、窓の外はすっかり夜に飲み込まれていた。


時間だけが進んで、気持ちはずっと置き去りにされているみたいで、うまく息ができない。


マフラーに顔を埋めると、自分の吐いた息のぬくもりが少しだけ安心させてくれる。

そのまま目を閉じると、昼休みに金森くんに言われた言葉が、やけに鮮明に蘇ってきた。



”ちょっとはあの人のこと信じてみてもいいんじゃない?”



……信じてた、つもりだった。尋くんのこと、ちゃんと信じているって、自分では思っていた。でも本当は違ったのかもしれない。一番疑っていたのは、きっと私自身だった。




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