きみは硝子のゼラニウム




モコモコって…たぶん、このパジャマのことだよね。ふわふわで、ちょっと子どもっぽいかなって思ってたやつ。でも、そんなのどうでもよくなるくらい、尋くんの「可愛い」が頭の中で何度も何度も繰り返される。


お風呂上がりだからだけじゃない。きっと、それだけじゃない。顔が熱くて、どうしようもなくて、でも嫌じゃなくて、むしろ少しだけうれしくて。



「なんだか暑いね~?」



さっきの空気を誤魔化すみたいにわざとらしく笑ってみせたら、尋くんは一瞬きょとんとしたあと、大きく口を開けて声を出して笑った。

その無邪気な笑い方に、さっきまでのドキドキも全部見透かされてる気がして、余計に顔が熱くなる。

それでも、その空気が嫌じゃなくて、むしろ心地よくて、私はつられるみたいに小さく笑った。



それからというもの、「映画リベンジしよっか」なんて流れになって、たまたま買ってあったスナック菓子を広げて、ちょっとしたパーティーみたいになった。

冷蔵庫にあったジュースも開けて、部屋の中はさっきよりずっとにぎやかで、楽しくて、時間があっという間に過ぎていく。


「今日こそ朝まで映画見るからね」なんて強気に宣言したはずなのに、やっぱり日付を超えたあたりから、じわじわとまぶたが重くなってくる。


画面の光がやけに眩しく感じて、さっきまで面白かったはずのシーンも、なんだか遠くに感じる。



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