【完】きみは硝子のゼラニウム




「ひな。もう寝る?」



隣から聞こえた優しい声に、私は首を横に振るみたいに小さく呟いた。



「…まだ、尋くんといる…」


「今日泊まらせてくれるんだろ?ずっといるから大丈夫」


「…う、ん」



小さく頷きながらも、心の中ではずっと引っかかっていることがあった。

まだ、話してないことがある。ちゃんと伝えたいことがある。

好きだって、言えてない。

このまま寝ちゃったら、また言えなくなる気がして、焦るのに、体は正直で、どんどん意識が遠くなっていく。

本格的にうとうとし始めて、テレビに映る字幕もぼやけて読めなくなっていく。



「ひーな」


「…う…ん」



返事はするけど、もうほとんど夢の中みたいで、声も自分のものじゃないみたいに遠い。


あ…やばい、寝ちゃう。

そう思ったとき、半分閉じかけた目でうっすら見えたのは、尋くんがリモコンを手にしてテレビを消しているところだった。



< 289 / 327 >

この作品をシェア

pagetop