【完】きみは硝子のゼラニウム




頬が熱い。絶対赤い。わかってるのに、視線を逸らせない。観念して、赤くなった頬にそっと手を添える。


落ち着け、私。ひとつ、深呼吸。吸って、吐いて。たった二文字。たったそれだけ。



「…ひ、尋さん」



やっと、声に出た。
言った瞬間、心臓が爆発しそうになる。


は、恥ずかしい…!なにこれ、こんなに破壊力ある?世の中の人たちはこれをいとも簡単にやってるの?


さっきより倍熱くなった頬を見られたくなくて、思わず両手で顔を隠す。

無理、無理無理。絶対今、真っ赤。



「だめ。さん付けはやめて」



指先に、ふっと温かい感触。

私の両手にそっと触れて、顔を隠す指の隙間から覗き込んでくる。

綺麗な瞳。光を反射してきらきらしている。

春の日差しのせい?それとも、もともとこんな目をしてるの?


キラキラの星に囲まれてるみたいなその人は、きっと自覚がないまま、私の心をかき乱してくる。



毒だ。

甘くて、抗えなくて、触れたら溶けてしまいそうな毒。



< 40 / 327 >

この作品をシェア

pagetop