【完】きみは硝子のゼラニウム
頬が熱い。絶対赤い。わかってるのに、視線を逸らせない。観念して、赤くなった頬にそっと手を添える。
落ち着け、私。ひとつ、深呼吸。吸って、吐いて。たった二文字。たったそれだけ。
「…ひ、尋さん」
やっと、声に出た。
言った瞬間、心臓が爆発しそうになる。
は、恥ずかしい…!なにこれ、こんなに破壊力ある?世の中の人たちはこれをいとも簡単にやってるの?
さっきより倍熱くなった頬を見られたくなくて、思わず両手で顔を隠す。
無理、無理無理。絶対今、真っ赤。
「だめ。さん付けはやめて」
指先に、ふっと温かい感触。
私の両手にそっと触れて、顔を隠す指の隙間から覗き込んでくる。
綺麗な瞳。光を反射してきらきらしている。
春の日差しのせい?それとも、もともとこんな目をしてるの?
キラキラの星に囲まれてるみたいなその人は、きっと自覚がないまま、私の心をかき乱してくる。
毒だ。
甘くて、抗えなくて、触れたら溶けてしまいそうな毒。