【完】きみは硝子のゼラニウム
そっともう一度、鞄に手を伸ばす。けど。
「だーめ」
軽くかわされる。まるで子ども扱い。
い、いじわるっ…!
思わずむっとして、睨むように羽吹さんを見ると、その顔もいいな、なんて、くすくす笑いながら、そんなことを言う。
「ほら。言わないとこのまま持ってくけど?」
わざとらしく少し低めた声。完全に楽しんでる。
もう、なんでそんなにいじわるしてくるの?助けてくれたと思ったら、昨日は急にバラを渡してくるし。
あの真っ赤な花、今も部屋に飾ってあるのに。
見るたびに思い出して、勝手に一人でドキドキしてるのに。
ずるい。
チラ、と恐る恐る顔を見上げる。
羽吹さんは、やっぱり楽しそうで、口元がゆるく上がっている。その余裕が、余計に私を焦らせる。胸の奥がじわじわ熱くなって、顔までその熱が上がってくるのがわかる。