きみは硝子のゼラニウム




土曜日。


尋くんの学校の校門前で待ち合わせ。

壁に背中をあずけながら、私は少し緊張して息を整える。


遠くから、尋くんが歩いてくるのを待ちながら、周りを行きかう人たちの視線がチラチラと私に向かっている気がするけれど…。


…そりゃそうだよね、こんな格好で、他校の学祭に来てるんだもの。


自然と視線を落とす。
視界に入るのは、制服のスカートと黒いローファー。

それを見下ろしながら、小さくため息をひとつ零す。



土曜日だというのに、他校から制服で来ている人なんて、きっと誰もいないだろう。

だからきっと、さっきから感じていた視線はそのせいなんだと思う。

せめて、この学校と同じブレザーだったら、こんなに目立たなかったのに…。



そんなことを考えていると、背後から柔らかい声が届いた。



「ひな」



その声に、私は思わず勢いよく振り向く。

そこには、ブレザーを脱いでシャツにネクタイを緩めた尋くんが立っていた。

前みた制服姿のときとは違って、かなり無防備な姿に、思わず胸がぎゅっとなってしまった。



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