きみは硝子のゼラニウム
尋くん。
私、友達なんてひとりもいないんだよね。
そう打ったら、尋くんはなんて言うだろう。
申し訳なさそうな顔をするかな。
ひとりも友達がいないなんて、一緒にいても楽しくないって思われちゃうかな。
「……。」
画面の文字を見つめながら、やっぱり私にはこういうの向いてないな、って思う。
だから、〈ごめんなさい。バイトです〉と打った。
バイト、なんて嘘。
休みのくせに、意気地なしだって、自分で自分を責める。
送ろうと指を動かしたその瞬間、スポッとまた追加でメッセージが届いた。
〈もしひとりだったら、俺と一緒に回ろう〉
胸の奥をぎゅっと掴まれたみたいに痛くて、言葉にならないくらい、どうしようもなく泣きたい気持ちになった。
またどうせ、何の気なしに言ったんだろうけど。
私にとって、尋くんのそれは、毒、なんだよ。
胸の奥が熱くなって、息が詰まりそうになるたび、ズッと周りにばれないように鼻をすする。
画面の前で小さく震える指をぎゅっと握って、〈うん〉とそれだけ返事を送った。
少し経ってから、素っ気なかったかな、冷たく見えたかな、と後悔したけれど、今の私には、それが精一杯だった。