きみは硝子のゼラニウム
中庭に足を踏み入れると、ズラッと並ぶ出店の数に圧倒される。私の知っている学校の学祭とは比べ物にならないほどの規模で、まるで別の世界に迷い込んだような気分になる。
「す…すごい」
人の多さに少し驚きながらも、さっきまで気になっていた自分のセーラー服なんて、もうどうでもよくなってしまった。
中央のステージでは、誰かが流行りの歌を歌っていて、周りの人たちは手を振りながら声援を送っている。
「ひーな」
思わず立ち止まり、固まってしまった私の視界の端から、ひょこっと尋くんの顔が現れた。
「もう楽しい?」
た…楽しい…かもっ…。
心の中でそんな答えが跳ね上がるより早く、顔に自然と笑みが浮かんでしまったのか、尋くんはにこっと笑った。
手はまだしっかり繋いだまま、尋くんは歩き出す。その背中に、私はつい安心してついていってしまう。