【完】きみは硝子のゼラニウム
「あっ!尋みっけ!」
場違いなくらい大きな声が空気を裂いた。
次の瞬間、どんっと鈍い衝撃音。
尋くんの体が後ろから勢いよく何かにぶつかられて、バランスを崩すのがスローモーションみたいに見えた。
「へっ…」
間抜けな声が自分の口から漏れる。考える暇なんてなかった。
尋くんの体が、私のほうへ倒れてくる。
近づいてくる顔。揺れる前髪。驚いたように見開かれた瞳。時間が一瞬止まったみたい。
きらきらと光の粒みたいなものが視界の端で弾けて、次の瞬間、視界いっぱいに尋くんが広がる。
息が触れそうなくらいで、頭が真っ白になる。
たまらず、ぎゅっと目を閉じた。
「あっ…ぶねー」
すぐ近く、耳元みたいな距離で尋くんの声がして、パチッと目を開けた瞬間、今にも鼻が触れそうな距離で、視線がぶつかる。
黒目の中に、ちっちゃく映る私がいて。
「…っ、」
「…や、ば」
小さな声が重なって、次の瞬間、ほんとうに息が止まりかけた。