[短]私は見えてない
そう言ったら彼は、分かった。今までありがとうって言った。
「私のこと好きじゃないでしょ」の部分は肯定も否定もしなかった。
最後まで優しく微笑んでた。
私は泣きそうで、泣きそうで。
ずっと眉をぎゅっとしかめてた。
最後は可愛く終わりたかった。
彼の家を出たあと、大泣きした。通り過ぎる人に見られたけどそんなのおかまいなし。
いや、私の気持ち的にはかまってるんだけど。
恥ずかしいから涙を止めたかった。
だけど、涙は止まらないみたいだった。
3ヶ月経った頃だった。
失恋したけど、生活は変わらない。
大学いって適当に遊んで気持ちは回復していった。
ある日、彼が彼女と大喧嘩した、というのを聞いた。
サークルかなんかの飲み会だった。彼と学部が同じだったから彼の知人は多かった。
私のことなんか忘れているのか、知らないのか、誰かが太智くんのことを話していた。
「太智さ、彼女と大喧嘩中。結構でかいぞ、あれ」
「まじで?太智とか喧嘩しなさそうだけど。彼女が結構怒ってるん?」
「そうらしい。ま、太智が原因だな」
「太智が?あいつ怒らすようなことするのか?」
「あいつ、元カノに未練タラタラらしい」
「はーん、今カノは可哀想だな」
そんな会話をして彼らは自分の元カノや今カノ話に移った。
元カノに?未練?
元カノは私?
少し、いや、かなり期待している。
もしかしたら私のことを好きだって分かったのかもしれない。
幼なじみのことを超えたのかもしれない。
お酒を飲んでいるからか、ドキ、ドキ、と鼓動が頭にガンガン響く。
LINEしようかな。
なんて言おうかな。最近元気?とかかな。おかしいかな、と思いつつ、グラスの線をなぞる水滴を眺める。
「みさき、大丈夫?」
私の幸せな脳内を打ち切ったのは友達だった。
「ぁ、ごめん、考え事、してた。」
ふふっと笑いながら言ってしまう。
何か楽しいことあったの?と友達に言われながら飲み会はお開きの雰囲気になっていった。
その翌日ぐらいに太智くんのサークル部屋を訪れた。
ほぼ無意識の状態で歩いていた。
太智くんに会いたいなと二日酔い気味の頭で考えてたらサークルの部屋に向かっていた。
サークルの部屋の目の前にいったら我に返ってこれからどうしようか、と思っていた。
彼女と別れていなかったらどうしよう。
彼女からしたら厄介女すぎる。
それに、まだ太智くんに会う勇気がなかった。
うじうじしていると部屋の中から声が聞こえてきた。
「だから!!その子のことが好きなら私は太智のなんなの?!」
そんな怒鳴り声が聞こえた。
やっぱり。
彼女と喧嘩してるんだ。
彼の声が聞こえるけどなんて言ってるかまでは聞こえなかった。
ドアを開けたらバレるだろうと思いつつ、ドキドキする身体には逆らえなかった。
ちょっとドアノブをひねってほんの数ミリ開けた。
彼女の声が聞こえてくる。よかった。気づかれていない。
「付き合ってるのは私でしょ?私をみてよ!!」
びっくりした。
付き合ってた時の私の思いを代弁してみたいだった。
私が言わせる側になるなんて。ごめんなさいねと少しの優越感を感じていた。
そんなことを感じていると、さっきの雰囲気とは違うものを感じた。
耳を凝らさないと何を言っているのか分からなかった。
「ずっとその子のことがすきなの?…ずっと?私のこと、好きじゃないの?」
彼女は泣き出してしまった。
さっきの威勢はどこへいったのか。
ぐすぐす、うぐうぐと泣いている。
流石にこれを見てるのは何だかはばかれる。
「その、幼なじみちゃんの方がいいんだ。私は一生越えられないんだね。」
嗚咽混じりで彼女は言う。
何回も頬に手をやりながら。
自分の中で何から崩れていく感覚があった。
なんだ、未練タラタラなのは幼なじみのことをいってたんだ。
やっぱり、幼なじみには勝てないんだ。
そう思っていると急に太智くんが彼女のことを抱きしめた。
なんだか一瞬こっちを見た気がして、心臓が冷えたけど、そんなの私が気にしすぎなだけだった。
「ごめん、ごめん。なんにもわかってなかった。ごめん。これからは大事にする。これからちゃんと向き合う。」
何故だか凄く驚いた。
私は見なかった太智くんが焦って人を引き止める姿。
私がしらない彼に目が離せなかった。
「こんなんでごめん。今までのこと、許してなんていえないけど、反省する。」
深々と彼女に頭を下げた。
「これから、僕とお付き合いしてくれませんか」
太智くんはそう言った。
彼女は何も言わず、というか嗚咽で何も言えないんだろうけど、太智くんを抱きしめた。
私はその場を後にした。
何も考えずに、ずっと真っ直ぐ歩いた。
家に帰るには駅を使わなくちゃいけないのに。
頭ではわかっているけど体はどんどん違う方向へ進んでいく。
この感情を、このどうしようもなさ、惨めさを捨てたかった。
太智くんは私に未練なんてあるはずがなかった。
幼なじみに、勝てたなんて一瞬でも思った私が馬鹿だった。
太智くんが私のこと好きなんて、ありえないのに。
ああ、私も彼女さんみたいに言えたなら。
私のことを見てって言えたらよかったのかな。
そしたら、まだ太智くんといれたのかな。
「私のこと好きじゃないでしょ」の部分は肯定も否定もしなかった。
最後まで優しく微笑んでた。
私は泣きそうで、泣きそうで。
ずっと眉をぎゅっとしかめてた。
最後は可愛く終わりたかった。
彼の家を出たあと、大泣きした。通り過ぎる人に見られたけどそんなのおかまいなし。
いや、私の気持ち的にはかまってるんだけど。
恥ずかしいから涙を止めたかった。
だけど、涙は止まらないみたいだった。
3ヶ月経った頃だった。
失恋したけど、生活は変わらない。
大学いって適当に遊んで気持ちは回復していった。
ある日、彼が彼女と大喧嘩した、というのを聞いた。
サークルかなんかの飲み会だった。彼と学部が同じだったから彼の知人は多かった。
私のことなんか忘れているのか、知らないのか、誰かが太智くんのことを話していた。
「太智さ、彼女と大喧嘩中。結構でかいぞ、あれ」
「まじで?太智とか喧嘩しなさそうだけど。彼女が結構怒ってるん?」
「そうらしい。ま、太智が原因だな」
「太智が?あいつ怒らすようなことするのか?」
「あいつ、元カノに未練タラタラらしい」
「はーん、今カノは可哀想だな」
そんな会話をして彼らは自分の元カノや今カノ話に移った。
元カノに?未練?
元カノは私?
少し、いや、かなり期待している。
もしかしたら私のことを好きだって分かったのかもしれない。
幼なじみのことを超えたのかもしれない。
お酒を飲んでいるからか、ドキ、ドキ、と鼓動が頭にガンガン響く。
LINEしようかな。
なんて言おうかな。最近元気?とかかな。おかしいかな、と思いつつ、グラスの線をなぞる水滴を眺める。
「みさき、大丈夫?」
私の幸せな脳内を打ち切ったのは友達だった。
「ぁ、ごめん、考え事、してた。」
ふふっと笑いながら言ってしまう。
何か楽しいことあったの?と友達に言われながら飲み会はお開きの雰囲気になっていった。
その翌日ぐらいに太智くんのサークル部屋を訪れた。
ほぼ無意識の状態で歩いていた。
太智くんに会いたいなと二日酔い気味の頭で考えてたらサークルの部屋に向かっていた。
サークルの部屋の目の前にいったら我に返ってこれからどうしようか、と思っていた。
彼女と別れていなかったらどうしよう。
彼女からしたら厄介女すぎる。
それに、まだ太智くんに会う勇気がなかった。
うじうじしていると部屋の中から声が聞こえてきた。
「だから!!その子のことが好きなら私は太智のなんなの?!」
そんな怒鳴り声が聞こえた。
やっぱり。
彼女と喧嘩してるんだ。
彼の声が聞こえるけどなんて言ってるかまでは聞こえなかった。
ドアを開けたらバレるだろうと思いつつ、ドキドキする身体には逆らえなかった。
ちょっとドアノブをひねってほんの数ミリ開けた。
彼女の声が聞こえてくる。よかった。気づかれていない。
「付き合ってるのは私でしょ?私をみてよ!!」
びっくりした。
付き合ってた時の私の思いを代弁してみたいだった。
私が言わせる側になるなんて。ごめんなさいねと少しの優越感を感じていた。
そんなことを感じていると、さっきの雰囲気とは違うものを感じた。
耳を凝らさないと何を言っているのか分からなかった。
「ずっとその子のことがすきなの?…ずっと?私のこと、好きじゃないの?」
彼女は泣き出してしまった。
さっきの威勢はどこへいったのか。
ぐすぐす、うぐうぐと泣いている。
流石にこれを見てるのは何だかはばかれる。
「その、幼なじみちゃんの方がいいんだ。私は一生越えられないんだね。」
嗚咽混じりで彼女は言う。
何回も頬に手をやりながら。
自分の中で何から崩れていく感覚があった。
なんだ、未練タラタラなのは幼なじみのことをいってたんだ。
やっぱり、幼なじみには勝てないんだ。
そう思っていると急に太智くんが彼女のことを抱きしめた。
なんだか一瞬こっちを見た気がして、心臓が冷えたけど、そんなの私が気にしすぎなだけだった。
「ごめん、ごめん。なんにもわかってなかった。ごめん。これからは大事にする。これからちゃんと向き合う。」
何故だか凄く驚いた。
私は見なかった太智くんが焦って人を引き止める姿。
私がしらない彼に目が離せなかった。
「こんなんでごめん。今までのこと、許してなんていえないけど、反省する。」
深々と彼女に頭を下げた。
「これから、僕とお付き合いしてくれませんか」
太智くんはそう言った。
彼女は何も言わず、というか嗚咽で何も言えないんだろうけど、太智くんを抱きしめた。
私はその場を後にした。
何も考えずに、ずっと真っ直ぐ歩いた。
家に帰るには駅を使わなくちゃいけないのに。
頭ではわかっているけど体はどんどん違う方向へ進んでいく。
この感情を、このどうしようもなさ、惨めさを捨てたかった。
太智くんは私に未練なんてあるはずがなかった。
幼なじみに、勝てたなんて一瞬でも思った私が馬鹿だった。
太智くんが私のこと好きなんて、ありえないのに。
ああ、私も彼女さんみたいに言えたなら。
私のことを見てって言えたらよかったのかな。
そしたら、まだ太智くんといれたのかな。