君となら地獄を見たい
「俺は、夏菜が穢れてるだなんて思わないよ。」
「···火鷹、でも、」
「それは生きる為に仕方なかった事だろ?夏菜は、穢れてなんてない。」
そう言う火鷹の言葉に濁りは感じず、その言葉は真っ直ぐにわたしの胸に溶け込んできた。
ずっと、自分は穢れた人間だと思ってきた。
だからもし人を好きになる事があっても、その好きな人には身体を見られたくない、そう思ってきた。
好きでもない相手に触られてきた身体を···、大切な人に見せる事が、触れられる事が怖かったのだ。
「···わたしを、嫌になったりしない?」
そう訊いた、わたしの声は震えていた。
火鷹はわたしの額に自分の額をつけ、鼻先が触れるくらいの距離で「嫌いになるわけないだろ。」と言って微笑んでくれた。
「むしろ、更に好きになるよ。」
「ふふっ。今の火鷹、何かボスみたい。」
「これでも死浪烙成の息子だからな。」
そう言って、笑い合うわたしたち。
さっきまでの不安だった気持ちがスッと解けていく。
火鷹となら、この不安も自分を責める気持ちも、乗り越えられる気がした。
「でも、もう何年もそういう事してないから、やり方忘れちゃったな。」
「バーカ。そういう事は本能で動けばいいんだよ。頭で考えるな。」
火鷹はそう言って、わたしの腰に腕を回すと、片手でわたしの眼鏡をはずした。
「じゃあ···、火鷹がリードしてくれるの?」
「当たり前だろ。」
「···優しくしてね?」
わたしがそう言うと、火鷹はわたしを抱き寄せ、優しく頭を撫でてくれた。
「優しくはするけど、止まらなくなったらごめん。」
火鷹はそう言って、わたしに唇を重ねると、わたしの頭を支えながらゆっくりとベッドへと寝かせた。
わたしはそれに応えるように火鷹の首に腕を回す。
最初は短く優しいキスも、次第に長く深いキスへと変わっていった。
火鷹はわたしの首筋にキスをし、耳元に火鷹の吐息がかかる。
今までこういう事をする時は身体が強張り、身体が拒絶反応を示すかのように不快感を感じた事しかなかった。
しかし、今のわたしの身体は、火鷹の身体に吸い付くように安心して身を委ねていた。
「怖くない?」
火鷹が耳元でそう囁く。
わたしは「怖くない。」と答えると、火鷹の頬を手で覆い、愛おしい気持ちで火鷹を見上げた。
「もっと、触れてほしい。」
わたしがそう言うと、火鷹は嬉しそうに微笑んで、わたしの頬に手を添えた。
「俺も、もっと夏菜に触れたい。」
「火鷹···好きだよ。」
「先に言うなよ。俺の方が先に夏菜を好きになったんだからな。」
火鷹の言葉にわたしが笑うと、火鷹は穏やかな表情を浮かべ、「夏菜、愛してる。」と囁くと、再びわたしに唇を重ね、わたしたちはその先へと進んでいった。