君となら地獄を見たい
火鷹の大きな手のひら、無駄な肉がない引き締まった胸板に、程よく筋肉が盛り上がった二の腕には血管が浮き出ている。
熱を帯びていく体温と、火鷹の額に滲む汗が光って見えた。
触れる箇所全てに愛おしさが広がり、温もりに溺れたような感覚に陥っていった。
静かな部屋には、わたしたちの吐息と肌がぶつかる音だけが響く。
わたしが耐え切れずに声を漏らすと、火鷹は「我慢しなくていいのに。」と嬉しそうに呟いた。
「やだよ、恥ずかしいじゃない。」
「俺はその可愛い声が聞けた方が嬉しいけどな。」
「···火鷹の馬鹿。」
恥ずかし紛れでわたしがそう言うと、火鷹は悪戯に微笑む。
すると火鷹は、わたしの額に一つキスを落とすと、わたしの瞳を見つめながら「夏菜。」と呼んだ。
「ん?」
「俺のこと、"かずさ"って呼んでほしい。」
「えっ?かずさ?」
「俺の本当の名前。"寿(ことぶき)"に"砂(すな)"って書いて、寿砂(かずさ)って読むんだ。」
わたしは火鷹の頬に触れ、「寿砂···、いい名前だね。」と言った。
「今だけでいいから、そう呼んでほしい。」
「うん。分かったよ、寿砂。」
わたしがそう呼ぶと、火鷹は···、いや、寿砂は照れくさそうに微笑み、「その名前で呼ばれるの、何年ぶりだろ。」と言った。
「ヤバいな···、夏菜にそう呼ばれると、意地悪したくなる。」
「もう充分、意地悪されてますけど?」
「え、これでも控えてたつもりだったのに。」
「でもいいよ。···寿砂だから、許す。」
わたしがそう言うと、寿砂はわたしに手のひらを重ね、「ダメだ···、もう加減できる自信ない。」と言って、わたしの胸に顔をうずめた。
「···っ、ぁぁ···っ······」
寿砂は先程よりも激しくわたしを求めた。
深く深く、わたしの奥まで入り込んできては、わたしの弱い部分を的確に突き上げてきた。
今まで感じた事のない感覚に顔を歪ませ、背中を反らせ腰を浮かせると、寿砂はわたしの反応を見て「ごめん、痛かった?」と心配してくれた。
しかし、違う。そうではない。
わたしはこれが快感というものなのだと、素直に感じて反応する身体に教えてもらったのだ。
「ううん、大丈夫。···っ、こんなに感じたの初めてだから···、つい、身体が···っ······」
わたしが恥ずかしさから腕で顔を隠そうとしながらそう言うと、寿砂はいきなり腰を突き上げ、わたしの奥を押し上げてきた。
その瞬間、わたしは「ぁあ!···―――――」と声を上げてしまい、自然と身体が反り返った。
「ここか。」
寿砂はそう言って、嬉しそうにわたしの腰に両手を添えた。