贄と呼ばれた少女の、幸せ
「ア」
女が不意に崩れ落ちる。掴まれたままの腕が引かれ、少女も共に床に倒れ込んだ。
「まあ、そろそろ限界ではあったかもしれないな。使い勝手がよくて便利だったが、仕方のないことだ」
男は無造作に女の足を掴んで引きずり、陣の中へと放り込む。女の手が、少女の腕からするりと離れていった。
「アア゛ッア゛ッ」
女の体がびくんびくんと大きく痙攣する。喉からはけたたましい絶叫がひっきりなしに絞り出された。女の体は跳ねて、ぼこんと大きく膨れ上がって、そのままぼこぼことぶくぶくと膨張し、血を滲ませ──そして内側から押し開かれるようにばちんとはぜた。女のすべては陣の上に広がり、ぐじゅぐじゅと溶け、扉に喰らい尽くされる。
扉枠に一本、手が増えた。
「あれを材料にするのは予定通りだが、贄がここにいるのは予定外だな」
男が振り返り、女の命を無惨に奪ったとは思えない、静かな瞳で少女に話しかける。
その男は、少女をここにつれてきた──『領主様』だった。