贄と呼ばれた少女の、幸せ

 少女はのろのろと体を起こし、痛む体をなでさする。

「いたいの、なくなれ。なくなれ」

 暗闇の中に光る自分の手のひらを体にあてる。そうすれば痛みが消えるから。それだけが、少女の頼れる温かさだった。

「今何してた!!」

 手のひらの光にぼんやりと照らされながら傷を癒やしていると、いきなり腕を持ち上げられた。

「オイ! 今何してたんだ!!」

 見上げた先にいたのは、アンタだった。腕を高く持ち上げられたたらを踏みながら、少女は懸命にこたえる。

「いたいの、なおしてた」

「マジかよ……」

 そう呟いたアンタは、少女をまじまじと見つめ醜くゆがんだ笑みを浮かべた。アンタは少女の腕を掴んだまま大股で家に向かう。少女はつま先立ちで引きずられながらそれについていく。

「なあ! こいつ高く売れるぞ!!」

 家の扉を殴るように開けながら、アンタは喜色に満ちた声を上げた。
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