贄と呼ばれた少女の、幸せ
「そうだ、ネビュラを紹介するよ、俺の相棒。呼べば来るからさ」
ヒースクリフは顔から手を離し、気を取り直して口を開いた。
「あのとき見て……ないよなあ、初めて会ったとき一緒にいたんだよ。ジルさんちに行くとき、ネビュラがニナを背中に乗せて運んだんだ」
それはニナが襲われて、失神している最中の出来事だ。ニナは首を振り、しょんぼりと肩を落とした。
「覚えていないです、ごめんなさい……お礼を、言いたいです」
「うん、あんな状況だったもんなあ……お礼言ってくれたら、あいつぜったい喜ぶよ。その……ちょっと、見た目で怖がられて誤解されがちなんだけど、すごく優しくて誰かを傷つけたりするようなやつじゃないんだよ。小さくてかわいいものが好きでさ。……その、俺が契約した精霊……みたいなもので、人じゃないんだけど」
「わかり、ました?」
ニナはよくわからなかったが、ネビュラが人ではないということは理解して頷く。ヒースクリフが優しいと言う『ヒースクリフの相棒』なら信頼できると思ったし、人ではないというのはニナにとってむしろ安心できることだった。
「じゃあ呼ぶね。……ネビュラー、急だけど一緒に暮らす子つれてきたー! 挨拶させてよ。ゆっくり出てこいよ? 驚かすなよ? いいか、俺とかライノみたいなんじゃないんだからな」