贄と呼ばれた少女の、幸せ


「そうだ、ネビュラを紹介するよ、俺の相棒。呼べば来るからさ」

 ヒースクリフは顔から手を離し、気を取り直して口を開いた。

「あのとき見て……ないよなあ、初めて会ったとき一緒にいたんだよ。ジルさんちに行くとき、ネビュラがニナを背中に乗せて運んだんだ」

 それはニナが襲われて、失神している最中の出来事だ。ニナは首を振り、しょんぼりと肩を落とした。

「覚えていないです、ごめんなさい……お礼を、言いたいです」

「うん、あんな状況だったもんなあ……お礼言ってくれたら、あいつぜったい喜ぶよ。その……ちょっと、見た目で怖がられて誤解されがちなんだけど、すごく優しくて誰かを傷つけたりするようなやつじゃないんだよ。小さくてかわいいものが好きでさ。……その、俺が契約した精霊……みたいなもので、人じゃないんだけど」

「わかり、ました?」

 ニナはよくわからなかったが、ネビュラが人ではないということは理解して頷く。ヒースクリフが優しいと言う『ヒースクリフの相棒』なら信頼できると思ったし、人ではないというのはニナにとってむしろ安心できることだった。

「じゃあ呼ぶね。……ネビュラー、急だけど一緒に暮らす子つれてきたー! 挨拶させてよ。ゆっくり出てこいよ? 驚かすなよ? いいか、俺とかライノみたいなんじゃないんだからな」
< 59 / 60 >

この作品をシェア

pagetop