魔族の娘と盲目の王子
 人間となったラビーネは、その後王子と結ばれました。
  不自由な世界で、見えない瞳を支え、言葉にならない声を補い合いながら、二人は生きる喜びを深く噛み締めていきました。

 月日は流れ。 お妃として迎えられたラビーネは、国中の民衆から絶大な人気を誇っていました。
 その明るい性格から、城下へ出れば誰もが気軽に「ラビーネ様!」と声をかけます。

 記念の日になると、彼女はリノス王子の腕をとり、塔の上から集まった人々を見渡しました。

「ラビーネ様ー! お妃様ー!」

 地響きのような歓声に、ラビーネは王妃らしからぬほど口を大きく開けて笑い、力いっぱい手を振って応えます。
 その自由奔放な姿に、傍らのブラウンは「まったく、お転婆なのは変わりませんな」と、呆れながらも幸せそうに首を振るのでした。

 ラビーネは、この幸せをお裾分けするように、空高く歌声を響かせます。
 その歌声が届く限り、この国に恨みや争いごとが生まれることはありません。

 あるのは、ただ平和と、誰かを想う温かな気持ちだけ。

 ……おや、どこからか小鳥が、真っ赤に熟れた「サトニシキ」を運んできました。

 ラビーネはそれを一粒頬張ると、かつて森で見つけた時と同じ、世界で一番幸せそうな顔で笑うのです。

 おしまい
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