佐倉くん、好きじゃないのにその気にしないで
佐倉くん……好きだなあ。

彼が、私のことを好きにならないことは分かりきってるし、好きになってくれとも思わない。
ただ……。

このつながれた手が、離れるのが寂しいと感じた。
この感情……なんだろう。

恋みたいな……感じじゃない。もっと、胸が暖かくなる。
疑問を抱えながら歩く。

「……羽衣ちゃん、ついたよ」
ひ、広いっ。

階段状の席がズラーと並んでいる中で、佐倉くんが予約してくれた席は前から五番目の見やすい席。

人も多くて、周りを見ると子連れや男女の組み合わせがほとんどだった。





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