気がつかないで
スタート
次の日、桃乃をいつも通り幼稚園に送り届けて、俺は学校に来ていた。
昨日言われた通りに、職員室に向かう。
「あっ、とあさん」
突然俺の名前を呼ばれて、ピタッと動きを止めた。
階段の上を見れば、そこに朱雀くんがいた。
「朱雀くんか。おはよう」
何事もなかったかのように、俺は朱雀くんに挨拶をした。
いつもと同じ笑顔。
その顔のまま、朱雀くんは俺の前まで来た。
「おはようございます。今日から、俺らの学年に入るんだったんでしたっけ?」
「うん、そうだよ。あとで霜降くんにも挨拶しないとね」
そう言うと、朱雀くんは考えるそぶりを見せたあと思い出したように言った。
「ああ、凛が言ってたね。なんか教育係つくみたいなこと」
「うーん、まあそんなところかな?とりあえず職員室によらなきゃだから、朱雀くんは教室に戻りな」
「待って」
朱雀くんの横を通り過ぎようとすると、いきなり止められた。
俺はきょとんとした顔で聞いた。
「なに?」
「とあさんは、今日朝教室に挨拶くる?」
突然の謎の質問に驚きながらも、俺は頷いた。
「えっと、まあ、行く…かな?」
そう返事をすると、朱雀くんは満足したように笑った。
「おっけー。じゃあ、また後でね」
そう言って、朱雀くんは下の階におりていった。
そっち…2年生の教室ないんだけどな。
俺はため息をついてから、職員室へと足を向かわせた。
1階分あがって、俺は職員室についた。
ドアをノックしてから、中に入る。
「おはようございます。神坂先生いますか?」
「ああ、一条くん。こっちだよ」
奥の方にいた神坂先生が、俺を手招きした。
ドアを閉めてから、俺は神坂先生に近寄った。
「おはよう。えっとね、俺の右隣が一条くんの席ね。ここは自由に使ってもらっていいからね」
「あっ、はい!ありがとうございます。じゃあ、さっそく荷物置かせてもらいますね」
持ってきたものを引き出しにしまったりする。
そして、しまい終わって神坂先生に声をかけた。
「入れました。この後はなにを?」
「ああ、そういえば一条くんに時間割とか渡してなかったね。ちょっと待ってね」
神坂先生が自分の引き出しを見て、プリントの入った透明なファイルを渡してきた。
『時間割』『年間行事予定表』『先生紹介』と、その3枚が入っていた。
ありがたいな。
そう思いながら、俺はプリントに目を通した。
「それはしっかり確認しておいてね。それじゃ、そろそろホームルームの時間だから、教室に向かうよ」
「はい!わかりました!」
俺は一度プリントを引き出しにしまって、神坂先生の後に続いた。
さらに1階分上がったところが、2年生の教室だ。
すぐに1組の教室があった。
「1組から順に入って、自己紹介してね。あ、簡単でいいから。ちなみに、霜降の教室は4組な」
「わかりました」
「よし、じゃあさっそく行こうか」
神坂先生が1組の前のドアまで行って、担任の先生を呼んだ。
それから、俺は1組から3組まで自己紹介を終えた。
最後は4組だ。
そして、4組の教室の前まで行った時——。
いいようのない、本能的恐怖が俺を襲った。
「こ、神坂先生…。ここだけ、なんか雰囲気が違いませんか?」
「ん?ああ、ここは別名特待選抜クラスって言われててね。各学年4組は優秀なエリートだけを集めてるんだ。つまり、アルファの多いクラスってことだね」
その言葉を聞いて、ドクンッと心臓が跳ねた。
わかってる。
アルファがみんな嫌なやつなわけじゃないって。
でも、恐怖せずにいられない。
いやダメだ、俺が差別をしててどうする。
俺は先生で相手はただの生徒。
オメガということがバレないよう仕事を頑張ればいいだけだ。
そうして神坂先生から合図が出て、俺は4組の教室の扉を開けた。
昨日言われた通りに、職員室に向かう。
「あっ、とあさん」
突然俺の名前を呼ばれて、ピタッと動きを止めた。
階段の上を見れば、そこに朱雀くんがいた。
「朱雀くんか。おはよう」
何事もなかったかのように、俺は朱雀くんに挨拶をした。
いつもと同じ笑顔。
その顔のまま、朱雀くんは俺の前まで来た。
「おはようございます。今日から、俺らの学年に入るんだったんでしたっけ?」
「うん、そうだよ。あとで霜降くんにも挨拶しないとね」
そう言うと、朱雀くんは考えるそぶりを見せたあと思い出したように言った。
「ああ、凛が言ってたね。なんか教育係つくみたいなこと」
「うーん、まあそんなところかな?とりあえず職員室によらなきゃだから、朱雀くんは教室に戻りな」
「待って」
朱雀くんの横を通り過ぎようとすると、いきなり止められた。
俺はきょとんとした顔で聞いた。
「なに?」
「とあさんは、今日朝教室に挨拶くる?」
突然の謎の質問に驚きながらも、俺は頷いた。
「えっと、まあ、行く…かな?」
そう返事をすると、朱雀くんは満足したように笑った。
「おっけー。じゃあ、また後でね」
そう言って、朱雀くんは下の階におりていった。
そっち…2年生の教室ないんだけどな。
俺はため息をついてから、職員室へと足を向かわせた。
1階分あがって、俺は職員室についた。
ドアをノックしてから、中に入る。
「おはようございます。神坂先生いますか?」
「ああ、一条くん。こっちだよ」
奥の方にいた神坂先生が、俺を手招きした。
ドアを閉めてから、俺は神坂先生に近寄った。
「おはよう。えっとね、俺の右隣が一条くんの席ね。ここは自由に使ってもらっていいからね」
「あっ、はい!ありがとうございます。じゃあ、さっそく荷物置かせてもらいますね」
持ってきたものを引き出しにしまったりする。
そして、しまい終わって神坂先生に声をかけた。
「入れました。この後はなにを?」
「ああ、そういえば一条くんに時間割とか渡してなかったね。ちょっと待ってね」
神坂先生が自分の引き出しを見て、プリントの入った透明なファイルを渡してきた。
『時間割』『年間行事予定表』『先生紹介』と、その3枚が入っていた。
ありがたいな。
そう思いながら、俺はプリントに目を通した。
「それはしっかり確認しておいてね。それじゃ、そろそろホームルームの時間だから、教室に向かうよ」
「はい!わかりました!」
俺は一度プリントを引き出しにしまって、神坂先生の後に続いた。
さらに1階分上がったところが、2年生の教室だ。
すぐに1組の教室があった。
「1組から順に入って、自己紹介してね。あ、簡単でいいから。ちなみに、霜降の教室は4組な」
「わかりました」
「よし、じゃあさっそく行こうか」
神坂先生が1組の前のドアまで行って、担任の先生を呼んだ。
それから、俺は1組から3組まで自己紹介を終えた。
最後は4組だ。
そして、4組の教室の前まで行った時——。
いいようのない、本能的恐怖が俺を襲った。
「こ、神坂先生…。ここだけ、なんか雰囲気が違いませんか?」
「ん?ああ、ここは別名特待選抜クラスって言われててね。各学年4組は優秀なエリートだけを集めてるんだ。つまり、アルファの多いクラスってことだね」
その言葉を聞いて、ドクンッと心臓が跳ねた。
わかってる。
アルファがみんな嫌なやつなわけじゃないって。
でも、恐怖せずにいられない。
いやダメだ、俺が差別をしててどうする。
俺は先生で相手はただの生徒。
オメガということがバレないよう仕事を頑張ればいいだけだ。
そうして神坂先生から合図が出て、俺は4組の教室の扉を開けた。