呪われた聖女は運命を覆したい
両陛下
あの後は無事に皇宮に入ることができて、今はこの大きな扉の前に立っている。
「スペネット侯爵嬢、両陛下がお待ちです。どうぞ、お入りください」
そう言って従者の方が扉を開けた。
一層輝かしい空間の奥、玉座に両陛下が座っていた。
「第一聖女、ムク・マリーウット・スペネット侯爵様がお越しです」
私はその声にハッとして、床に敷かれた赤いカーペットの上をまっすぐに歩いていった。
階段の前で止まり、私は最敬礼をした。
「我が光なる皇帝陛下、並びに皇后陛下にご挨拶申し上げます。第一聖女、そして侯爵の次女、ムク・マリーウット・スペネットにございます」
少し間が空いた後、皇帝陛下の威厳のある声が響いた。
「面をあげよ、スペネット侯爵嬢」
「はい」
顔をあげると、皇帝陛下からの見定めるような視線が刺さった。
アミューズも気がついているのか、バレないようにじっとしている。
そんな視線をさけるために、私は皇后陛下に視線を向けた。
穏やかな笑みを浮かべていらっしゃる。
皇后陛下のお名前はエタナール・フローレンス・イリュシア・コルド様。
『コルド』とつけられるのは、我が国の両陛下だけである。
淡い桃色の髪、白い瞳。
真っ白なドレスにはところどころ桃色のフリルがつけられていて、とても皇后陛下の容姿に合っていた。
神秘的な雰囲気すら感じる皇后陛下は、実は盲目(もうもく)なのである。
正確には、視界がボヤけて見えないらしい。
これも神の遺物(アーティファクト)所持者の代償に当たる。
皇后陛下のランクは5位であり、かなりの上位者だ。
だけど、なんの神の遺物(アーティファクト)を扱うのかはわからない。
それを知っているのは、国内でわずかな人数だけらしい。
ちなみに、魔法は光魔法を使う。
次に、皇帝陛下に視線を向けた。
皇帝陛下のお名前は、アムール・フローレンス・イリュシア・コルド様。
白髪に紫の瞳、垂れ目で見た目は20代くらいに見える。
ただ、本当は37歳。
服装は白いズボンに青色のジャケット、それに金色で刺繍の入れられたマントを羽織っていた。
すごい威圧感。
これもきっと、ランクが1位であるせい。
国内トップである皇帝陛下は、同じように神の遺物(アーティファクト)でもトップの実力を持っている。
そんな皇帝陛下が、口を開いた。
「そなたのことはアランから聞いている。大層立派な人柄だと言っておったぞ」
「光栄にございます」
次に皇帝陛下は家臣に視線を向け、出ていくようにと言った。
そうして私は両陛下と3人になった。
なにを言われるのだろうと思ったが、想像以上に驚くことをした。
両陛下が王座から立ち上がり、私の方へと階段を降りてきたのだ。
両陛下は絶対的権限を持つ人であり、両陛下は敬うべき相手として、謁見室はこのように見下ろすようになっているのに。
いったいなんの考えがあって近づいてきているのか。
それが不思議だった。
そうして両陛下が私の前まで来て、皇后陛下が言った。
「ムク、顔をおあげ。本来ならば、私たちが貴女に頭を下げる方なのよ。だから、対等にお話をしましょう」
そう言って皇后陛下はニコッと笑った。
言っていることは正しい。
聖女は、両陛下ですら頭をあげられない高貴な存在。
コルド国は上下関係が厳しいので、両陛下もそのことをおっしゃっているのだろう。
だけど——。
私は立ち上がって、礼をしてから言った。
「私は聖女である前に、ひとりの帝国民です。他の民の模範となるのが、聖女だと私は考えております。ですので、私の態度は相応のものかと思われます」
そう言うとシンと室内が静まり返り、私はドキドキしながら両陛下の言葉を待った。
最初に言葉を発したのは皇帝陛下だった。
「そなたは我がコルド国の聖女の誇りだ」
私は勢いよく顔をあげた。
皇帝陛下は優しい表情をしていた。
次に私が口を開こうとすると、突然謁見室の扉が勢いよく開いた。
バンッ!!
「またか」
ボソッと皇帝陛下が呟いた。
私は入ってきた人物に目を向ける。
金髪の髪の男の人は、さっき出会った人だと私に確信させた。
「セア、何事だ」
私はピタリと動きを止めた。
今、皇帝陛下はこの人を「セア」と呼んだ…?
だとしたらこの人って——。
セア・フローレンス・イリュシア第四王子殿下、呪われた子。
この人が噂に聞く、私と同じ黒魔法を扱う者。
「スペネット侯爵嬢、両陛下がお待ちです。どうぞ、お入りください」
そう言って従者の方が扉を開けた。
一層輝かしい空間の奥、玉座に両陛下が座っていた。
「第一聖女、ムク・マリーウット・スペネット侯爵様がお越しです」
私はその声にハッとして、床に敷かれた赤いカーペットの上をまっすぐに歩いていった。
階段の前で止まり、私は最敬礼をした。
「我が光なる皇帝陛下、並びに皇后陛下にご挨拶申し上げます。第一聖女、そして侯爵の次女、ムク・マリーウット・スペネットにございます」
少し間が空いた後、皇帝陛下の威厳のある声が響いた。
「面をあげよ、スペネット侯爵嬢」
「はい」
顔をあげると、皇帝陛下からの見定めるような視線が刺さった。
アミューズも気がついているのか、バレないようにじっとしている。
そんな視線をさけるために、私は皇后陛下に視線を向けた。
穏やかな笑みを浮かべていらっしゃる。
皇后陛下のお名前はエタナール・フローレンス・イリュシア・コルド様。
『コルド』とつけられるのは、我が国の両陛下だけである。
淡い桃色の髪、白い瞳。
真っ白なドレスにはところどころ桃色のフリルがつけられていて、とても皇后陛下の容姿に合っていた。
神秘的な雰囲気すら感じる皇后陛下は、実は盲目(もうもく)なのである。
正確には、視界がボヤけて見えないらしい。
これも神の遺物(アーティファクト)所持者の代償に当たる。
皇后陛下のランクは5位であり、かなりの上位者だ。
だけど、なんの神の遺物(アーティファクト)を扱うのかはわからない。
それを知っているのは、国内でわずかな人数だけらしい。
ちなみに、魔法は光魔法を使う。
次に、皇帝陛下に視線を向けた。
皇帝陛下のお名前は、アムール・フローレンス・イリュシア・コルド様。
白髪に紫の瞳、垂れ目で見た目は20代くらいに見える。
ただ、本当は37歳。
服装は白いズボンに青色のジャケット、それに金色で刺繍の入れられたマントを羽織っていた。
すごい威圧感。
これもきっと、ランクが1位であるせい。
国内トップである皇帝陛下は、同じように神の遺物(アーティファクト)でもトップの実力を持っている。
そんな皇帝陛下が、口を開いた。
「そなたのことはアランから聞いている。大層立派な人柄だと言っておったぞ」
「光栄にございます」
次に皇帝陛下は家臣に視線を向け、出ていくようにと言った。
そうして私は両陛下と3人になった。
なにを言われるのだろうと思ったが、想像以上に驚くことをした。
両陛下が王座から立ち上がり、私の方へと階段を降りてきたのだ。
両陛下は絶対的権限を持つ人であり、両陛下は敬うべき相手として、謁見室はこのように見下ろすようになっているのに。
いったいなんの考えがあって近づいてきているのか。
それが不思議だった。
そうして両陛下が私の前まで来て、皇后陛下が言った。
「ムク、顔をおあげ。本来ならば、私たちが貴女に頭を下げる方なのよ。だから、対等にお話をしましょう」
そう言って皇后陛下はニコッと笑った。
言っていることは正しい。
聖女は、両陛下ですら頭をあげられない高貴な存在。
コルド国は上下関係が厳しいので、両陛下もそのことをおっしゃっているのだろう。
だけど——。
私は立ち上がって、礼をしてから言った。
「私は聖女である前に、ひとりの帝国民です。他の民の模範となるのが、聖女だと私は考えております。ですので、私の態度は相応のものかと思われます」
そう言うとシンと室内が静まり返り、私はドキドキしながら両陛下の言葉を待った。
最初に言葉を発したのは皇帝陛下だった。
「そなたは我がコルド国の聖女の誇りだ」
私は勢いよく顔をあげた。
皇帝陛下は優しい表情をしていた。
次に私が口を開こうとすると、突然謁見室の扉が勢いよく開いた。
バンッ!!
「またか」
ボソッと皇帝陛下が呟いた。
私は入ってきた人物に目を向ける。
金髪の髪の男の人は、さっき出会った人だと私に確信させた。
「セア、何事だ」
私はピタリと動きを止めた。
今、皇帝陛下はこの人を「セア」と呼んだ…?
だとしたらこの人って——。
セア・フローレンス・イリュシア第四王子殿下、呪われた子。
この人が噂に聞く、私と同じ黒魔法を扱う者。


