雪音だけのライブハウス

【第1話:雪の音が見える少女】



<冬、とある山村>

愛祈琉(あいる)
修児(しゅうじ)くん、久しぶり。元気にしてた?」

ここは母の実家の山村。

私、深山 愛祈琉(みやま あいる)は、家の裏手に広がる雪原の真ん中で立ち止まった。

愛祈琉(あいる)
修児(しゅうじ)くん…私、音楽活動を辞めちゃったの。あんなに応援してくれたのにごめんね。」

誰もいない雪原に話しかけてみても、私の声は白いじゅうたんに溶けていく。

淡雪が積もる音、風の音、木々がざわめく音が「見える」だけ。

愛祈琉(あいる)
「私、音楽活動が苦しくなって初めて気づいたんだ。私が歌いたいステージは大きなライブハウスじゃない。こうして雪の音を見ながら、修児(しゅうじ)くんのために歌いたかったの。それじゃあ始めるね。」

大学生シンガーソングライター・Airuの、たった1人に捧げるラストライブを。
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