雪音だけのライブハウス
ライブが終わり、お客さんが退出した頃に私の意識が戻った。

愛祈琉(あいる)
「いけない…寝ちゃった…。」

鏡台に突っ伏していた私の腕は、しびれて感覚がなかった。

愛祈琉(あいる)
(私は…何のために音楽活動してるんだろう?多くのお客さんに恵まれて、とても光栄で、嬉しいのに…歌えば歌うほど孤独になっていく。)

好意も感動も「シンガー・Airu」に向けられるもの。

等身大の深山 愛祈琉(みやま あいる)が何者かに関係なく。

ファンが増えるほど、私に突き刺さるのは”嫉妬”や”性的な視線”。

そういう痛みにも、私という人間にも、いつだって寄り添ってくれたのは1人だけ。

そうだ、私が歌うのは…大勢のお客さんのためでもなく、大きなステージに立つためでもなく、



―― そのたった1人に届けたくて ――



ドンドン!ドンドン!

スタッフ
『Airuさん!緊急のご連絡が!Airuさんのお母さまからです!』

愛祈琉(あいる)
「お母さんから…?」

スタッフ
『はい、Airuさんのスマホに連絡しても出ないと。』

私のスマホを見ると、お母さんから何件もの不在着信が入っていた。

プルル、プルル、

愛祈琉(あいる)
「お母さん…どうしたの?」


『帰って来て、修児(しゅうじ)が…。』

愛祈琉(あいる)
修児(しゅうじ)くんが…?!」
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