12人と私のハチャメチャ寮生活! ➊輝石の12人のジュエル達

女子からの視線

『あのさぁ。生意気なんだけど』

『どっかに消えててよ』

『……っ』

私は水をかけられる。寒い。

『お似合いお似合い』

言い残して去って行った女子達。

『はぁっはぁっ』


!!!

ゆ、夢か……。それにしても、リアルな夢だった。水をかけられて寒かったし、やけにあの言葉が耳に響いてたし。

予知夢だったりするかな。占い好きの私は、家から持ってきていた占いの分厚い本を開く。

『今日の貴方の夢は、予知夢かもしれないし、予知夢ではないかもしれません』

なんとも曖昧な答え……。これは当たり前だよ……。

いつもは頼りになる占いでも分からなかった。

ぶるぶる震える。

階段を降りる。

すると、同じ階だったダイヤモンドさんが私の前で階段を降りていた。

「……おはよう」

え?私、今ダイヤモンドさんに微笑まれた?目の前のことが信じられない。

「おはようございますっ」

「なんか元気なかったから、心配した。……いい」

いい?何が?きょとんとしている私を見て、ダイヤモンドさんはくすっと悪戯っぽく笑う。

「可愛い」

可愛い?!ダイヤモンドさん、寝ぼけてるのかな。この私を可愛いと思うなんて、

「美的感覚が狂ってますねぇ……。あはは」

「狂ってない。下行くぞ」

「あ、待って下さいぃ!」


「みなさん、おはようございます」

「ああ、おはよう」

「はよ」

「おはようさん」

「今日は学校ですよね?制服着ないんですか」

その中の1人、オパールくんが言う。

「今日行かないつもり」

「えーと、みなさんも行かない、と」

「「「「「「「「「「「その通り」」」」」」」」」」」

声がぴったりシンクロしてる!

「なぜ」

そして、アメジストくんがさらりと告げる。

「僕は気分」

気分とかで決めていいんですかっ!

「俺は大体行ってない」

根本的なところがアレですね……。

「おらは今日はのんびりしたいなぁ」

みんなそう思ってると思いますよ。

「意外に、天石ってツッコミできるんだな。漫才してるエメラルドにぴったしじゃん」

ダイヤモンドさん、私の心の声聞こえてました?!

「心の声が聞ける超能力者じゃないから。天石、小声で言ってた」

無意識に私言っちゃってたのか……。これから気をつけないと。


エメラルドくんは陽気に、

「ほいじゃ学校行ってら〜」

「行って参ります」

ちゃっかりなぜかダイヤモンドさんはついて来てる。

「咲希」

名前呼び、許可してないけど、まあいいか。

「朝言ったこと、覚えてるよな」

「え。もちろん覚えてますよ」

「後で何回もまた言う。冗談ではない。俺が冗談言って笑わせるボケタイプに見えるのか」

見えない。でも、私を可愛いと思うなんて、どうかしてる。

「冗談を言う人とは理解してませんけど。その。お世辞言ってくれてるんですよね。本当に、私、そういうの要りませんから」

ダイヤモンドさんはちょっと苦笑した後、

「後でたっぷり理解させてあげる。咲希、メガネどうした。忘れた?」

確かに。なんかいつもと感覚が違うと思ったら、忘れてた。

「超特急で取ってきます。歩いてて下さい」

寮に向かおうとすると、行手を阻まれる。

「俺が取りに行くから、咲希は学校行ってな」

や、優しいっ。私を遅刻させまいと心配してくれてたのですね?

「ありがとうございます!」

「いえいえ」

私達は笑い合い、それぞれの方向へ向かった。


それからが試練なのだった。


学校の敷地内に寮があるから、数分で校舎まで行けてラクだなぁ。

編入してまだ少ししか経ってない。溶け込めてもいないけど、まあ、今の状況にしては良い方だと思う。(多分)


「あれぇ?glowの方達来てない?」

「お仕事で忙しいんじゃないかしら。でも、存在がいなくても空気が変わるだなんて、やっぱりglowって偉大だわぁ。尊い……」

黄色い声があちこちから飛び交う。

「あ」

そのうちの1人が、私を指差す。

「貴方さ、glowと一緒に登校しようとしてませんでした?取り入ろうとするなんて、卑怯ですのね」

人生最大(とは言わないかもしれないが)のピンチに陥っています……!

それに私には恋心の一欠片もないです……!助けて……!

でも。誰かに助けばかり求めてちゃ、『ちゃんと』した社会人にはなれない。ここは自分で切り抜けなきゃだよねっ。

「いいえ。私はglowの人達を弄んだりするつもりはありません。glowの人達は尊くて、素敵な人です。でも、その輝きはglowというグループしか所有者はいません」

んぐっと女の子が黙る。ちょっとやりすぎたかな?

「そ、そう!」

遠くからパチパチ拍手が聞こえた。

「咲希、やるな」

「どこがですか?」

「いや……、ただ守られるだけのお姫様じゃないんだなって。そー思っただけ」

ダイヤモンドさんが発した言葉の意味が分からず、私は首を傾げた。

「女子からの視線とか、大変だろ。護衛付ける」

「ごごご護衛っ。貴族じゃないんですから、大丈夫です!」

「誘拐されるかも」

「そ、それは無いです!私みたいな地味な人は狙われないと思います」

いわゆる地味子っていう私には、誘拐犯も目なんて付けない。だから心配ない。

「咲希、立ち話してたら授業遅れる。みんなもう校舎入った。それと」

ダイヤモンドさんは「メガネ」と私の大事なメガネを渡してくれる。

「自分から遅れるって言っておいてなんだけど。それ、伊達メガネ?」

「伊達じゃないです。私、本当に視力が悪いんです。0.1ですよ、どっちも」

「そっかそっか」

「そうです!」

メガネを私はかける。あぁ、やっぱり見えやすくて気持ち良いな。

「じゃあ校舎入ろう」

私はソワソワしながら校舎に入る。もう何日か目なのに、まだこの感じは慣れないっ。

「おはようございます」

近くの女の子達から挨拶される。これ、今までの状況からして、おかしくない?

だって今まで、結構疎まれてたよね。glowに囲まれてて、嫉妬されてた。

「おはようございます、天石さん」

そして男の子達からも……。

こんなに色々な人に挨拶されると、いつもなら嬉しいはずなのに、こわくなってしまう。

「おはようございます……」

弱々しい声が自分から出る。

「あの……、この状況はどういう」

隣のダイヤモンドさんにこっそり聞いてみる。

「ああ、それはな。俺が『咲希に無礼な生徒は排除する』って言っておいたからだ。息苦しいかもしれないけど、敬意を咲希に払って欲しかったから」

ハイジョ!学園追放とか、そういうことデスネ……。


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