月が青く染まる夜に
••┈┈┈┈••

外はもう夜だった。
さすがに、帰る時間…かな。

寂しさと、ちょっとの充実感。
そして、ちゃんと“好き”って自覚した大切な日の終わり。



夜空を見上げると、三日月がひっそりと浮かんでいた。
澄んだ夜空ではなく、薄く雲がかかった冬の空。
その淡い光に、思わず立ち止まりそうになる。

私の胸はざわついていて、冷たい空気の中でもなぜか熱を帯びていた。

横に並ぶ迅和くん。
歩幅は自然に合わせているけれど、視線は地面に落ちたまま。

赤く変わった信号機の光が、彼の横顔を淡く照らす。
その光と影に、心の奥がぎゅっと締めつけられる。

どうしてこんなに意識してしまうんだろう。
冬の夜の静けさのせいだけじゃない、私の胸のざわめき。

「…あのさ」

なんとなく声をかけると、ようやく彼の視線がアスファルトから私へと移った。

怪訝そうで、でもどこか優しいその瞳に、胸がぎゅっと掴まれた気がした。
視線の重みが、心臓の奥までじんわり届く。

「夜にかじられた惨めなお月様よ〜、ってこんな曲なかった?」

うろ覚えのメロディーを口ずさむ。

迅和くんは少し遅れて頭上の三日月に気づく。
そのとき、彼の視線がすぐに私の頬にひっかかった。
わざとらしくないのに、確かに見ている。

「そんな発想はなかったです」

「私もないよ。なにかの曲でそんなのあったなぁって」

「言われてみればもなかみたいですもんね、月って」

────────もなか…?

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