2Kの君~終電帰りの限界OL、2Kの扉を開けたら異世界騎士の部屋でした
 凛子の言葉にシェイルは口の端をやや持ち上げる。

「そうだな」

「もう会う事も、ない……よね」

「ああ」

 掴んでいた凛子の手が開放される。
 体温が離れ、凛子は思ったことを素直に告げた。

「ちょっと、寂しいかも」

「――――俺もだ」

 遅れて届いた言葉。
 それが、最後だ。

 ばたん、とあっさり過ぎるほどあっさりと扉はしまった。
 無機質の灰色に伸ばしかけた指先を刹那で止め、それから凛子は立ち上がるとドアノブをまわした。

 もったりとした生暖かい空気。まとわりつくそれらは、懐かしいものだ。
 人口の明かり、非常灯の緑。レンガ色をした壁面。規則正しく並ぶ、向かいの建物の窓。階下を流れる車が残すオレンジ。

 凛子は凛子の世界を存分に視界にとらえ、呼吸する。
 予測もせぬ間に始まり、唐突に遮断された。
 不可思議な週末は、終わったのだ。


 ひどく曖昧な感情の残滓を残して。



彼女の週末、彼の休暇 <了>
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