逮捕された通り魔
俺たちの住んでいる町で、通り魔事件がおきた。
一人で道を歩いていると、いきなり後ろから誰かがやってきて、ナイフで切りつけ去っていく。そんな事件が、今月に入ってもう三件も起きている。
犯人は切りつけた後すぐに逃走するから、年齢も性別もまだわかってない。

町は、この通り魔の噂で持ちきり。俺の通っている高校でも、何度も話題になっていた。
中でも、特に話題になったのがこの話だ。

「隣のクラスのケンジが、犯人を見たってよ」

なんでも、ケンジはたまたま通り魔事件のすぐ近くに居合わせ、現場から走り去っていく奴を見かけたらしい。

ただこれには、本当かと疑う声もあった。
ケンジのやつ、自分が目立ちたいからって嘘をつくことが時々あるんだ。

「その犯人ってのはどんな奴だ?」
「白いコートを着た、中年の男らしい。けど、本当なのかな?」

みんな、半信半疑といったところだ。
そんな中俺は、絶対に嘘だと思った。
もしも警察がケンジの証言を信じて捜査したとしても、それじゃ犯人は捕まらない。

けど、それは間違いだった。
数日後、通り魔事件の犯人として、中年男性が捕まったんだ。
事件当日、白いコートを着て現場近くにいたのが決め手だったらしい。

「まさかケンジの証言が役に立つとはな」

こんなことになるなんて、驚きだ。絶対嘘だって確信してたのに。
ケンジ。証言してくれてありがとな。


【解説】

この語り部は、なぜケンジの証言を嘘だと確信していたのか。
実はこの語り部こそが通り魔事件の真犯人で、ケンジの言っていた白いコートを着た中年男性は全くの冤罪だった。
中年男性が逮捕されたことで、真犯人の彼は捕まることなく暮らしている。
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