彼は魅惑のバレリーノ
「俺はいつも通り練習するから。
それ見てて。集中したいから話しかけないで。」
淡々とした声。
でも、その言葉だけで胸がぎゅっと締まる。
「はい!」
ビシッと敬礼すると、柊くんはふっと息を吐き、
ゆっくりとストレッチを始めた。
う、美しい。
鏡越しに見える横顔も、伸ばした腕も、
全部が線として綺麗で、無駄がない。
柔らかいな…
関節が溶けてるみたいに滑らかだ。
念入りにストレッチをするたび、
しなやかな筋肉が薄く浮かび上がる。
私は思わず鉛筆を走らせた。
描かずにはいられなかった。
そして——踊り始めた瞬間、空気が変わった。
圧倒的だった。
身体が羽のように軽い。
跳ねるたび、風が生まれるようで、
回転するたび、光が揺れる。
この人に重力存在してる??
本気でそう思うほど、動きが浮いて見えた。
息をするのも忘れる。
ただ、目が離せず鉛筆を走らせた。