彼は魅惑のバレリーノ
夕飯を食べ終え、お風呂にも入り、
二人でベッドに入る。
手を繋いだまま、静かな夜が落ち着いて流れていく。
「ねぇ、柊くんはバレエと私どっちが大切?」
意地悪く笑ってみせる。
「それずるい質問だよね。
どっちも……って、だめかな。」
「ふふ、ダメじゃない。
むしろバレエが一番でいい。」
「そう?」
「うん。私はバレエをしてる柊くんが一番輝いてて好き。
だからもし、公演の本番に私が事故に遭っても、こっち来ちゃだめだよ?」
「え、やめてよ。
そのフラグ。」
そう言って、ぐっと引き寄せられる。
「もののたとえだよ。」
「それでも、いやだ。」
甘えるような声。
胸の奥がじんわり温かくなる。
「可愛い。」
よしよしと頭を撫でると、
「子供扱いしてるね。」
「うん、私お姉さんだから。」
そう言った瞬間、
柊くんが少しだけ目を細めて、低く囁く。
「そんな余裕の顔、なくしてあげる。」
そっと落ちてきたキスは、
ゆっくり深くなっていき、
互いの体温が近づいていく。
言葉はいらなくて、
ただ寄り添うだけで十分に満たされる夜だった。