彼は魅惑のバレリーノ

未来の先へ


日本公演が無事に終わって一週間。
大好評で、テレビにも取材されていた。

画面の中で堂々と話す柊くんは、
本当に“違う世界の人”みたいだった。

その輝きを見れば見るほど、胸がざわつく。

そんなとき。

「一華さんの実家に挨拶に行きたい。」

突然そう言われた。

「え?」

「だめかな?」

「ううん……一緒に行ってくれるの?」

「もちろん。」

その迷いのない声に、胸のざわつきが少し溶けた。

そして私は久しぶりに実家へ向かった。


玄関を開けると、柊くんが丁寧に頭を下げる。

「初めまして、戸神 柊です。
一華さんとお付き合いさせていただいてます。」

その礼儀正しさと柔らかい笑顔に、
母は目をまんまるにして叫んだ。

「やだー!! お父さん!!
一華が王子様連れて来たわよ!!」

「ねぇ、やめて!ほんとに!」

恥ずかしすぎて顔が熱くなる。

「王子?
何言ってるんだ母さん。王子なんて現実にいるわけないだろ。」

そう言った父も、柊くんを見た瞬間——

「……本物だ。」

やめて。
ほんとにやめて。

一方的に質問攻めにされて、困ったように笑いながらも、柊くんはきちんと向き合ってくれていた。

私は柊くんを引っ張り出した。

「はあ……ほんと恥ずかしい。」

「賑やかで楽しいご両親だね。」

柊くんはくすっと笑う。

「私の部屋行こう。
ちょっと荷物片付けていい?」

「もちろん。手伝う。」

腕まくりまでしてくれるのが、なんか可愛い。
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