彼は魅惑のバレリーノ
部屋に入ると、高校生の頃のままだった。
大学からは一人暮らしだったから、時間が止まっている。
ゴミ袋を持って、いらないものを分けていく。
ふと、奥に立てかけてあった大きなキャンバスが目に入った。
「あれ……これなんだっけ?」
引っ張り出してみると、
そこには——
空に向かってジャンプする一人の少年。
背中には大きな翼。
その先には虹がかかっている。
ああ、そうだ。
「これ……学園祭で描いたやつだ。
確かタイトルは…。」
懐かしさに浸っていると、
隣から静かな声が落ちてきた。
「未来の先へ。」
「へ?」
私は思わず振り返った。
タイトルはキャンバスの裏側に隠れていた。
見えるはずがない。
なのに、柊くんは迷いなく言った。
まるで——
ずっと前から知っていたみたいに。