彼は魅惑のバレリーノ

そして一年後。

柊くんは本当に、
毎日メールをくれて、
電話をくれて、
そして二ヶ月に一回は必ず日本に会いに来てくれた。

忙しいはずなのに、
どんなに疲れていても、
「声が聞きたい」って言ってくれる。

その積み重ねが、私の支えになっていた。

そして私はというと——

「え? 仕事やめるの?」

亜季が目を丸くする。

「うん。独立することにした。」

「そっかぁ。すごい決断だね。
でも一華なら大丈夫だよ。」

「そうだよ。
如月に頼みたいっていう顧客も多いし、大丈夫だよ。
何かあったらこっちも頼ってくれ。」

深山も笑って背中を押してくれる。

「ありがとう。」

私はこの一年、
自分の仕事を少しずつ増やしていった。
独立のための準備もコツコツ進めてきた。

そうすれば——
柊くんの隣に、ちゃんと立てる気がした。

彼の世界は広い。
遠い。
でも、だからこそ私も前に進みたかった。

まだ柊くんには言っていない。
驚くかな。
喜んでくれるかな。

そして今日は、久しぶりに会う約束をしている。
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