あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 こうして、百花はあやかしとなり、今までのように権蔵の大好きな山と、山に来る人達を守って来た。
 邪悪な者が来た時は、思わずニヤける。あの人に怒られずにイタズラできるからと。
 「だっていいでしょ?追い返すためにしてるから、許してよ」
 いつも追い返すためにイタズラする前は、天を見て声をかけた。

 初めて瑠宇斗と会った時、強い銀狼に萎縮したものの、
 「山を守るあやかしか・・・俺も同じだ。何か困ったことがあれば、いつでも言えよ」
 と優しい言葉と『同じ』という言葉が嬉しかった。
 そして、何度が会う度に、イタズラすればあの人のように自分に構ってくれる。
 それが嬉しくて、からかったり、ちょっかいをかけたりした。
 呆れた顔をしてたけど、「まったく・・他の奴にはするなよ。神様に叱られるぞ」って言ってくれた言葉が、あの人と重なる。

 ずっと、ずっと好きだった。瑞穂よりもずっと昔から・・・でも・・・あんな顔をする瑠宇斗、初めて見た。やっぱり・・・瑠宇斗は人間だったから・・・
 道の途中で立ち止まり、しばらくときよ屋を見下ろした後、百花は姿を消した。

 🐺🐺🐺
 百花の気持ちなど知らない瑠宇斗は店に戻った。
 「はぁ・・・何だあいつ。この大変な時に」
 中に入ると、瑞穂は片付けをしていた。
 「瑞穂、任せてばかりで悪い。俺が片付けるよ」
 「いえ、いいです。私の仕事ですから。今日は1人で大丈夫ですよ。彼女を追いかけたらどうですか?」
 「いいんだ。会おうと思えばいつでも会えるから」
 「そ、そうでしたね!2人は長くお付き合いしているようですし、今夜も一緒に過ごされるんですから、余計な心配でしたね。・・・あれ・・・す、すみません、ちょっと2階に・・・」
 動揺した瑞穂は、嫉妬心で瑠宇斗を責めてしまうと、一旦、頭を冷やすため2階へ上がった。
 「はぁ・・・何言ってるんだろ、私」
 瑞穂は勝手にやきもちを妬いて瑠宇斗に八つ当たりした自分が情けなくて、涙が零れ落ちた。
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