あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 それから半年が過ぎた頃、権蔵の来る回数が少なくなってきた。
 権蔵のように優しくされると嬉しいことを学び、待っている間、百花は弱い小動物などを助け、権蔵だったらと人が迷いそうになると威嚇したり、山奥に入らないようにした。
 権蔵に褒めて貰うために、権蔵が大好きな花を傷つけないように、百花は山を守っていた。いつ訪れるか分からない権蔵を待ちながら、ずっと・・・
 権蔵に最後に会ってから1か月後、大好きな気配に気がついて、急いで走り寄ると、権蔵は痩せ細り、若い男性に付き添われてやって来た。
 「おぉ・・・子狐・・・会いに来れなくて悪かったな。こっちにおいで」
 百花は嬉しさに体を寄せた。
 「もう、これが最後だ・・・わしが来なくなっても、いい子にするんじゃぞ・・・ありがとうな・・・」
 そう言って、いつものように頭を撫でると、権蔵は若い男性に連れられて山を下りていった。
 言葉の通じない百花は、この日が最後になるとは知らず、いつ来るか分からないからと、いない時に来たらまたしばらく会えないからと、それから権蔵が来るのをじっと待っていた。雪が降る中もずっと・・・ずっと毎日、そこから動かず権蔵を待っていた。その命が尽きかけているのも気づかずに・・・
 「子狐よ。待ち人は来ないぞ?」
 突然、目の前に狐の神獣が姿を現した。
 「どうして?私の事が嫌いになったの?」
 「お前に会いに来た数日後、息を引き取った」
 「・・・もう、会えない?」
 「そうだ。それと、お前も同じく、もう寿命が尽きる」
 「私も・・・そうか・・・でも、おじさんがいないなら、もういいや・・・」
 「お前はずっと、この山を守っていたことを私は見ていた。どうだ?私に従うなら、彼が好きだったこの山にずっといられるように守り神に頼んでもいいぞ?」
 「また、おじさんに会える?」
 「そうだなぁ・・・会えるかは分からない。それに会えてもずっとずっと先の話だ」
 「・・・うん、従う・・・会えるかもしれないなら、ずっと待ってる・・・」
 「よし、では神の所に連れて行ってやる」
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