あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【イタズラな神獣】
 梅雨が終わる頃、神の領域近くの岩場で瑠宇斗は町を見ていた。
 「よぉ、瑠宇斗。久しぶりだな?」
 「これは、雷深(らいしん)様、ご無沙汰しております」
 雷深は、東北地方にある『飛光山(ひこうざん)』の神獣だ。小さな雨雲をもたらす力がある。豪傑な虎の雷深と思慮深い鹿の緑運は仲が良い。そしてタッグを組めば、神々が認める最強コンビだ。
 「よせよ、かしこまるのは・・・いつも言ってるだろ?緑運にとって、お前はそうだなぁ・・・甥っ子みたいなもんだ。俺にしても同じだ。お前は幸せだな?俺達みたいな最強のおじさんがいるんだから」
 「結構、鬱陶しいですけど・・・でも、嬉しいです。ありがとうございます」
 「噂をすれば・・・よう、緑運」
 「ビリビリ感の大きな気を感じたと思ったら、やっぱり雷深か・・・」
 「俺はそろそろ行きます。雷深さん、また」
 「おう、またな」
 瑠宇斗は会釈してその場を去り、ときよ屋に戻った。

 「雷深、今日はどうしてここに?」
 「久々に出雲まで使いに行った帰りだ。北に帰る途中についでだから降りて来たんだ」
 「ついでとは失礼な。私に会いに来たと素直に言えばいいものの」
 「はぁ?何を自惚れている。ところで・・・噂で山の話を聞いたが、見つかったのか?」
 「いや、まだだ・・・」
 「そうか・・・何処でいつ、ここのような現象が起きるか分からない・・・都市開発が進めば、自然が壊され、浄化される場所が消える。その煽りが他の自然に集まってしまう・・・悲しいな」
 「悲しんでいても始まらない。歴史は繰り返される。きっとまた、浄化する者が現れるはずだ。諦めずに探すよ」
 「その者が見つかれば、俺達の希望になる。俺も協力するから、何かあればいつでも呼んでくれ。ひと声で直ぐに飛んでくるから」
 「あぁ、頼んだ」
 「それよりも・・・瑠宇斗は雰囲気が変わったなぁ。何て言うか、柔らかみが出たような・・・」
 「ふみの子孫を捜すために、昼間は人間の姿で人と関わっているからだろう。今、力が封じ込まれていても、いつ、力が開花するか分からないからな」
 「そうか・・・では、可愛い瑠宇斗を少し見学してみるか」
 「放っておけ。12歳であやかしになったんだ。楽しませてやれ。それに・・・邪魔するな、さっさと帰れ」
 「それに?邪魔って意味ありげだなぁ・・・」
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