あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「いいから、放っておけ。お前は早く帰れよ。いいな?」
 「あぁ、分かったよ。じゃあな」
 これは見に行くしか無い!雷深は緑運と別れて、早速、瑠宇斗の気を見つけ、上空へと向かった。
 「どれどれ・・・ふーん、そういう事か・・・折角だ、色んな経験しろよ」
 雷深が見下ろした先には、ときよ屋の店から少し離れた所で、瑞穂と瑠宇斗が掃除をしている。
 雷深は、2人の上に雲をもたらし、雨を振らせた。

 「えっ、他は明るいのに、どうしてここだけ雨なの?」
 瑞穂が空を見た瞬間、雷が鳴り響き、稲光が光る。
 「キャーーーッ!!」
 瑞穂は、音の大きさにビックリして、思わず瑠宇斗に抱きついた。
 「す、すみません・・・わ、私、雷が苦手で・・・キャーーーッ!」
 雷深は光と音を鳴らす度に、瑞穂が瑠宇斗に抱きつくのを面白がって、何度も稲光と轟音を響かせた。
 「大丈夫だ、瑞穂。俺が叱ってやるよ」
 まったく、イタズラにも程がある。瑠宇斗は雷深を睨みつけた。
 「雷様―!いい加減にしてくださいよー!止めないと、一生口を利きませんよー!」
 そんなこと言って雷が止むわけない。瑞穂は瑠宇斗の以外な行動に、吹き出してしまった。
 「る、瑠宇斗さん!そんな事で、雷が止むことなんてあり得ませんよ」
 「きっと止むよ。ほらっ」
 可愛い瑠宇斗に一生口を利かないと言われると、雷深は嫌われたくなくて雷を止めた。
 「う、うそ・・・本当に止んだ・・・」
 「もう大丈夫だから」
 瑠宇斗が空を見上げると、雷深は腕を組んで見下ろしていた。
 「瑠宇斗、お前のためにしてやったんだぞ?」
 その声は瑠宇斗には聞こえているが、瑞穂がいる手前、会話が出来ない。
 「・・・まぁいい。じゃあな、瑠宇斗!頑張れよ!この山を、緑運を頼むぞ!」
 雷深は大きく手を振って、一瞬のうちに消えて行った。
< 49 / 192 >

この作品をシェア

pagetop