あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【ドキドキハラハラの旅行記】
 そして、旅行の当日。瑞穂達は喜見駅から10分ほど歩いて、喜見湖の近くにあるホテルの前に着いた。
 「電車でここに来るなんて、初めてだ」
 「えっ?いつもは何で来るんですか?」
 「いつもは・・・」
 瑠宇斗は、いつもはあやかしの姿であっという間に来れるとも言えず、何て誤魔化そうかと思っていると、
 「はぁ~い、瑠宇斗。と、お付きの瑞穂」
 そこに話を遮るように、百花が現れた。
 「お、お付きって!」
 「どうしてこんな所にいるんだ?百花」
 百花は、『あなたの気を近くに感じたからに決まってるでしょ!』と言いたいのを我慢した。
 「人の縄張りに来て、どうして?は無いでしょ!」
 縄張りって、何の話なの?と瑞穂は思ったが、相手は百花だ。余計なことを言うと、何を言われるか・・・
 「今日は、2人で旅行なんだ。邪魔するな」
 「ふ、2人でって・・・つ、付き合っちゃったの⁉︎」
 「い、いえ違います!2名分の旅行券が抽選で当たっただけで・・・」
 「なぁんだ、そういうことね」
 「用が無いなら、俺達は行くぞ」
 「実は・・・ちょっと気になることがあってね・・・」
 「何か・・・あったのか?」
 「あったら・・・一緒に行ってくれる?」
 にやけながら百花が瑞穂に目線を向けた。
 「もちろんだ。何かあれば直ぐに声をかけろ。お前のためなら、何処にいても俺は駆けつける。必ず助けてやるから心配するな。お前は俺にとって、あい」
 「やだもぉっ!瑠宇斗ったら、いつも優しいんだから!そんなこと人前で言われると恥ずかしいじゃない」
 百花は瑠宇斗に背を向け、瑞穂の横を通り過ぎる時、
 「人前で愛する人なんてね」
 ボソッと耳元で囁いて、「またねっ」と立ち去った。
 瑞穂は瑠宇斗が言いかけた言葉の先を百花から聞いて、胸がギュッと締め付けられる。
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