あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 荷物を置いたあと、瑠宇斗と瑞穂はホテルから歩いて5分ほどにある湖にやって来た。
 瑠宇斗は、穏やかに過ごす人々を見て、自分や百花の行いが報われているんだと更に使命感が強くなった。皆の幸せを守らないと・・・
 「そろそろボートに乗ろうか」
 「はい!楽しみです!」
 2人がボート乗り場に向かおうとした時、どこからともなく百花が現れて目の前に立っていた。
 「瑠宇斗・・・少しいい?」
 いつもふざけたりしている百花の真剣な顔つきに、瑠宇斗も何かあったと察し、瑞穂に「ちょっと待ってて」と言うと、2人は瑞穂から離れた所で話をした。
 しばらくして戻ってきた瑠宇斗は、
 「瑞穂、悪い。急用が出来て百花と出掛けてくる」
 「えっ?何処に?」
 「直ぐに戻るから、ホテルで待ってて。本当にすまない」
 それだけ告げると、百花と一緒に走って行った。
 「瑠宇斗さん・・・やっぱり百花さんを放っておけないんだね・・・」
 瑞穂はしばらく2人が立ち去った方を呆然と見つめていたが、締め付けられた胸の痛みと涙を堪えて、湖を背にホテルに向かって歩き出した。

 🐺🐺🐺
 瑠宇斗は百花と山に入ると、誰もいないことを確認し、話を切り出した。
 「さっきの話、詳しく教えてくれ」
 「ここ最近、遭難する人が多いの。それも夜中に・・・で、その人達っていうのが瑠宇斗が泊まるホテルに宿泊する人でね。見かけた人は、亡霊のように歩いて山に登って行ったっていうのよ。本人の意志じゃないとしたら・・・」
 「あやかしの仕業・・・ってことだな?」
 「うん・・・昨日の夜から町の男性が1人いなくなったって騒ぎになっていたから、もしかしてと山奥の小屋を捜してみたの。そしたらさっき見つかったけど、山に入った記憶が全くないのよ」
 「イタズラか・・・だが、百花なら直ぐに見つけられるだろ?」
 「強い力なら分かるけど、妖力が弱いとあちこちいる他のあやかしの妖力と区別がつかなくて・・・瑠宇斗も気にかけて欲しいの」
 「分かった。俺も協力するから心配するな。困ったことがあったらいつでも相談しろよ」
 「ありがとう・・・瑠宇斗」
 「そろそろ戻るよ。瑞穂との約束を破ったし、きっと怒ってるだろうから」
 百花は自分への優しさが愛情ではなく、同類だからということは理解している。さっき遮った言葉の先は、『愛する人』では無いことも・・・でも、瑞穂より過ごした時間も長く、自分の方が絆は深い。何よりも瑞穂は人間だ。私の方が・・・瑠宇斗の隣に相応しいのに・・・
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