あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 自分の部屋に戻った瑞穂は、部屋を片付け、荷物を持ってフロントに行くと、瑠宇斗はもう待っていた。
 「おはよう、瑞穂」
 「おはようございます。瑠宇斗さん」
 寝なくてもいつもと変わらず爽やかな瑠宇斗に対し、今横になったら、直ぐに寝てしまう瑞穂。
 2人は買い物に出掛ける予定だったが、朝から大雨が降り、帰ることになった。
 「大変な旅行になったな」
 「いえ、その分と言っては何ですが、思い出に残る旅行でしたし、私、ここでお友達が出来ましたよ。『キゼラ』の常連さんなんですって」
 「そうか・・・色々あったけど、いい思い出が出来て良かったよ」
 「あの・・・ボートに乗れなかったので、また一緒に来て下さい!」」
 「そうだな。約束だ」
 こうして、楽しくてドキドキハラハラのお騒がせ旅行を終えて、ときよ屋へ帰って行った。

 🐺🐺🐺
 それから数日経ったある日。
 瑠宇斗は1人でキゼラを訪れた。
 「こんにちは。新河さんいますか?」
 「瑠宇斗さん!いらっしゃいませ!店長は今、業者さんとの打ち合わせで出掛けてますけど・・・」
 「そうですか。では、また来ます」
 「あっ、ちょっと待って下さい!」
 藤野は瑠宇斗を引き止めた。
 「実は・・・いつも冷静な瑠宇斗さんにご相談が・・・」
 「相談?えぇ、少しだけなら別に構わないけど・・・」
 「私、インテリアデザイナーになるのが夢で、専門学校を卒業したあと就職をしたんですけど、同期といつも比べられて先輩にもきつく当たられてついていけなくて・・・」
 瑠宇斗は藤野の話を黙って聞いていた。
 「でも、やっぱり諦められなくて・・・ただ、どうしても踏み出せないんです」
 「踏み出せない理由は?」
 「私に出来るのかなぁって・・・」
 「俺は・・・そういう経験が無いし、どうしていいかも助言出来ないけど・・・ただ、金銭面や体力面とか、どうしても抗えないものなら諦めることも必要かもしれない。でも君の場合は、君の気持ち次第だと思う。俺はね・・・出来る環境があるのなら、チャレンジしたらいいと思う。人生は短い。君が歳を重ねた時、やりたいと思ってやっても、自分自身も社会の受け入れも・・・今と同じようにはいかないんだよ」
 藤野はハッとした顔で瑠宇斗を見つめた。
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