愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
 本当に、これが〝愛〟なの……?

 夢物語の中だけの存在だったそれは今、私をこんなにも熱く、甘く、苦しいほどに満たしている。
 誰かの体温をこれほどまでに愛おしいと思うのは、生まれて初めてだ。

 そっと目を開けると、彼は優しく微笑んでいた。

「愛を伝えるのももちろんだが……俺には、まだやらなければならないことがある。俺は、諦めたわけじゃないんだ」

 瑞樹さんは立ち上がり、力強く、けれど優しく私に手を伸ばした。

「立てるか?」

「はい、拘束されていただけで、怪我はありませんから」

 差し出された手を取る。その瞬間に伝わってきた彼の確かな体温に、私の胸は甘く跳ね上がった。
 そんな私に、瑞樹さんは不敵な笑みを向ける。

「俺は万智も、次期院長の座も、どちらも手に入れる。あんな卑怯なやつらに、光前寺総合病院を渡してたまるか」

 繋がれた手に、わずかに力が込められる。

 瑞樹さんがそう言うのなら、きっと大丈夫だ。
 私はそう信じ、彼にこくりと頷いた。

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