愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
 瑞樹さんの羽織りにしがみつくと、彼はそのまま私を抱き上げた。小上がりに配置された、低めのベッドが目に入る。

 そっと見上げた彼の瞳は、優しくも激しい熱情を孕んでいた。

「今夜もたくさん、愛を伝えさせてくれ」

 瑞樹さんはふわりと微笑む。

 彼に愛される幸せを、今夜もたくさん受け取りたい。
 私は彼の腕の中で、こくりと小さく頷いた。


 情事の後の気怠いまどろみの中。何度抱かれても慣れない彼の腕の中で、私はただひたすらに幸せを噛みしめていた。

 そんな私のおでこに、唐突に口づけが降ってくる。見上げると、彼は優しく微笑んでいた。

「またこうして、旅行に来よう。まだ知らない景色を、万智と一緒に見てみたいんだ」

 その言葉に、私も頬が緩んでしまう。

「はい、ぜひ、また」

 言いながら、彼に顔を近づける。どちらともなく唇が重なり、胸を幸せが支配する。

 愛は、こうして育んでいくものなのかもしれない。
 眠りに落ちる瞬間、彼の腕の中で、ふとそんなことを思った。

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