ポンコツ御曹司の初恋は…
気がつけばもう朝礼は終わっていた。
私自身も自分のデスクまでどうやって戻ってきたかも覚えてない。

いつの間にか美玖ちゃんも戻っていて、顔を近づけて話し掛けてきた。
「先輩、見てくださいよ、エコー写真。この豆みたいのが赤ちゃんらしいんです。これ見たら彼、責任とって結婚しようって。優しいですよね、知ってましたか」

優しいのは知っている。
あと、見栄っ張りだけど断りきれない優柔不断で押しの弱いとこ。
たぶん、この子は知ってるんだ。
私と堅太郎が付き合っていたことを。

「…良かったね。エコー写真って、何ヵ月?」
堅太郎はいつから浮気をしてたんだろう。
美玖ちゃんが進んで営業に行くようになったのって最近だよね?
えっ?
まさかと思うけど、そのエコー写真、本物?
考えてると何が気に障ったのか、「はぁ、いつだって良いでしょ」
急に切れて立ち上がった。
どした?
「お腹が痛いから医務室に行ってきます」、言って席を外して行ってしまった。

どうせ仕事なんかやる気も無いくせに…。
昼からの堅太郎の代理で行くことのなってる営業先、書類を持っていくだけだから、美玖ちゃんに行ってもらおうと思ってたけど、今日は会社に居たくない、せめて直帰にでもしてもらおう。
急ぎの仕事は午前中に終わらせないと。
こんな時でも、真面目に仕事をするなんて、自分ながらあきれてしまう。
とりあえず給湯室にコーヒーを入れに行くことにした。

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