ポンコツ御曹司の初恋は…
「信じられない。あそこで出す?」
会場内ではとりあえずニコニコして過ごしたけど、あれはプロポーズではなく、公開処刑だ。
「だって…、持ってたから…、つい…」

これは会場を出て、タクシーに乗った時のやり取り。
もう話だけではなく、たぶん動画もたくさん拡散されているだろう。

「今夜は司さんのマンションに行く約束はキャンセルで」

隣で項垂れてる司さんを見てると、これ以上怒ることも出来ない。
私だって恥ずかしかったけど、ちゃんと用意をしてくれてたのは嬉しかったわけだし…、なんだかんだ言ったって、悄気てる姿を見ると許してしまう。

いつからこんなに甘くなってしまったんだろう。

惚れた弱み、しょうがない。
信じられないけど20年、思い続けてくれてたのはやっぱり嬉しい。

「今からうちに来る?」
しょげてた耳が元気になった。
あー、言うんじゃなかったかな。
でもついつい甘やかしてしまう私が彼をこんなにしてしまった原因の一つなのかもしれない。
無いはずの尻尾がビュンビュン動いてる。

こんな彼に一生付いていく…、いや一生引っ張っていくのも悪くないかもしれない。



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