黒豹の唯一無二は

ep.3

静かに車は、走り出し先ほどゼンたちが通った繁華街を抜ける。



「お嬢〜

 ご飯美味しかったですか〜?

 いいなあ〜オレたちはこれからご飯なんす
 よ〜

 腹減った〜家着いたらすぐ飯〜」

 「えっ、龍輝たちまだ、ご飯食べてなかった
  の?

  最近、忙しそうだもんね?

  何かあったの?

  先食べちゃってごめんね」


申し訳なさそうに、龍輝とゼンに視線を送る。


 「大丈夫ですよ、何もありません

  ただ、いつも忙しくないので、たまにはこ
  のぐらい忙しい方がいいんですよ

  おい、龍輝お前、余計なこと言ってお嬢に 
  余計な心配かけんじゃねえよ」


助手席に座る龍輝の椅子を後ろから蹴り上げる。


 「え〜別に本当の事言っただけなのに〜

  俺が悪いんすか〜?

  あっ!お嬢、明日の朝はいつも通りの時間
  に登校で大丈夫すか?」



はぐらかされたように、何も教えてもらえないお嬢は少し顔を曇らせる。
自分には、組の仕事の話は何も教えてもらえない。
危ない仕事もあることは知っている。


それは、分かってはいるけれど心配でつい毎回聞いてしまうのだ。

その、曇った表情にゼンは気づくがお嬢の返事を車の窓から見える景色を眺めながら待つ。

 「うん

  明日も、係りの仕事がないからいつも通
  りで大丈夫

  鏡さんいつもの時間にお願いします」

 「はい

  お嬢、毎度お願いしますは要らないって言
  ってるじゃないですか?」


鏡は、お嬢専属の運転手だ。
お嬢が、外にできる時は必ず鏡が運転する。


ゼンより5つ年上で、龍輝に至っては10も離れているので兄の様に慕われている。


 「そんな事は、だめ

  いつも、ありがとうだよ」


 「まったく、お嬢には敵わねえや」



口ではそんな事を言ってはいるが、そう言われどこか嬉しそうに、照れた様子で運転を続ける鏡に、ゼンと龍輝も心なしか嬉しそうに窓の外を眺めている。


しばらくすると車のスピードが落ちひと際目をひく厳格な雰囲気の佇まいの屋敷の前に停まる。


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