黒豹の唯一無二は
 「着きました

  お疲れ様でした」

鏡のひと言で、それぞれが車から降り、玄関を通りその風格のある屋敷の中に入っていく。


 「お嬢〜

  腹ペコなんで台所に行ってご飯にします
  ね〜

  お疲れ様でした〜」

 「うん

  今日もお疲れ様

  明日も学校だし、お風呂に入って先に休ま 
  せてもらうね

  また、明日ね龍輝」


龍輝は、台所へ向かって歩き始めた。

その背中を見送り、自分も荷物を置きに部屋へと行こうとする。


 「お嬢

  ちょっといいですか?

  何か、聞きたいことあるんじゃないです
  か?」


先ほど、車での反応を気にしてなのかゼンに声をかけられた。

(私が聞いてもきっとゼンを困らせるだけだし大切なことはきっと教えてもらえない。)


 「ううん

  何もないよ、大丈夫だよ

  ゼンもいつも、ありがとうね

  また明日、おやすみなさい」


 「なら、いいんですけど

  何かあれば、必ず言ってください

  どんな、些細なことでもいいので

  では、失礼します」


ふわりと、笑みを見せ頭に手を優しく置いてひと撫でするとゼンも台所へと向かっていった。

ゼンに撫でられた頭に自分の手を置く。


 「まだ、まだ子供だと思って…」


ゼンの去っていった方角を見つめて、独り言が宙に舞う。

(6歳も離れてれば、子供扱いされても仕方ないか。
でも、私だってもう17歳になるしいつまでも子供じゃないのに…
みんなに、いつも迷惑しかかけてなくて申し訳ないなあ…
早く大人になりたい)

そんな切実な思いを抱えて、部屋へと続く廊下を歩いていく。


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