迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
フィリーネは目を二、三瞬きをする。
「町、というのは村よりも大きな規模で形成されている、あの町ですか?」
「それ以外に何の町があるのか分からないが、いろんな店が軒を連ねていて、買い物ができる町だ」
フィリーネはパッと顔を輝かせる。
「わあ! 一度も行ったことがないので是非行きたいです!」
町という響きに自然と心が弾む。
使用人たちが休日に町へ繰り出しては自分へのご褒美だと言って、お菓子や嗜好品を買って帰ってくるのを目にしていた。
同じように、遂に自分も買い物に出かけられる。フィリーネは歓喜した。
「五分で支度を済ませるのでお待ちください。戻ってきた時に気が変わったなんて仰らないでくださいね!」
「言わないから、気が済むまで支度をしてくるといい」
フィリーネは椅子から立ち上がると、小走りでテラス席を後にする。
「……まさか一度も買い物をしたことがないだなんて」
眉尻を下げて呟くシドリウスに、興奮しているフィリーネはまったく気づかなかった。