迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「シドリウス様ったら何を仰っているのですか? 私はフィリーネです。どうしてそんな意地悪を……」
「そうだな。まず、フィーは俺に寂しいなんて言わないし、猫なで声で話さない。思わせぶりな態度も取らない。おまえと違って潔いからな」
シドリウスは抱きついている相手の手首を掴んで捻り上げ、自身の身体を向けた。
「もう一度訊く。本物のフィーはどこにいる? ミリーネ=アバロンド」
正体がバレたミリーネはぐうの音も出ない。ただ、下唇を噛みしめて罰の悪い顔をする。
「それとそのドレスも宝飾品も、すべてはフィーのものだ。どうしておまえが身につけている?」
「これは、だから……」
「ドレスが体型と合っていないせいで随分と見苦しいな」
シドリウスは思ったことを口にしただけだったが、ミリーネは顔を真っ赤にした。
頭に血が上ったのか、ミリーネは易々と理由を話してくれた。
「忌み子の絶望する顔が見たくて成り代わってやったの。あなたこそ、あんな薄気味悪いののどこが良いの? 見る目がないにもほどがあるわ!」
ミリーネは柳眉を逆立てて叫んだ。
シドリウスはやれやれというように肩を竦める。