迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~


 どうして使えるのか改めて紫紺蝶に尋ねると、精霊の祝福を受けているからだという。
 これまで不思議な力で使用人たちの不眠や気分の浮き沈みを改善していたのは、紫紺蝶に授けられた祝福の魔法を使っていたからだった。
 もっと早くに祝福の内容を教えてもらいたかった。しかし、知ったところでフィリーネは精霊契約はできないし、アバロンド家での待遇は絶対に改善しなかっただろう。

 何はともあれ、大手を振って力が使えるようになったフィリーネは、定期的に公爵を起こしに行った。
 シドリウスのように毎日添い寝している訳ではないし、精霊師のように充分な力を発揮できないので、治る速度は緩やかではあるが快方に向かっている。

 自分の新たな役目が見つかり、フィリーネの毎日は忙しくも充実していた。
 とはいえ、たまにシドリウスがいないのを思い出して、寂しくなる時もあった。そんな時は自分の本来の役目を思い出し、生贄として美味しい身体になるよう精を出した。


 舞踏会の一件まではシドリウスの寝室で眠っていた。だが、勝手に眠るのも忍びないと思い、以降は自室のベッドで寝起きをしている。
 そのはずなのに、何故か今はシドリウスのベッドの上だ。
 訳が分からず頭の上にたくさんの疑問符を浮かべていたら、シドリウスが喉を鳴らした。

「夜中に帰ってきたら部屋にフィーがいなかった。おまえがいないと俺は眠れない。だから、こっそり俺の寝室まで運んだんだ」
「ああ、なるほ……いえ、そうではなくて。どうして起こしてくださらなかったのですか!?」
 納得しかけたが、すかさず異を唱える。

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