迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~


「私はシドリウス様が好きです。もうあなたを諦めません!」
 高々と宣言すると、シドリウスが目を見張る。
 数秒と経たないうちに彼の耳の先が赤くなった。

「フィー、俺を好きでいてくれるのか? ……俺の方がもっと好きだ!」
 シドリウスがフィリーネに近づいて力強く抱き締めてくれる。
 フィリーネは背中に手を添えた。この逞しい腕が、温もりが、愛おしくて堪らない。
 シドリウスの筋肉質な胸に顔を埋めていたら、上から弱々しい声が聞こえてくる。

「本当は俺の方からフィーに告白すべきだったのに。先を越されてしまったな。なんだか男として情けない気がする」
「私に告白してくださるつもりだったんですか!? それはとっても嬉しいです!」
 フィリーネは顔を上げてへにゃりと表情を崩す。こちらとしてはこの恋が実って幸せなので、どちらの告白が先でも構わない。
 だが、シドリウスの方は違うようだ。

 シドリウスはフィリーネの顎を親指で持ち上げると、そのままフィリーネの唇をペロリと舐めた。
「ひゃうっ!?」
「もう我慢しなくていいなら、もっと可愛いフィーが見たい。もっといろんなフィーを知りたい」
 熱を帯びたアイスブルーの瞳がフィリーネを射貫く。
 シドリウスはチュッと音を立てると、唇に触れるを繰り返す。

「フィーは俺のものだ。頭のてっぺんから足のつま先まで。髪一本だって誰にも渡さない」
 独占欲剥き出しの言葉を紡ぎながらシドリウスの唇は頬や耳朶に触れる。
 再びフィリーネの唇に戻ると、今度は深い口づけを受けた。

 シドリウスを受け入れるようにフィリーネが唇を開けば、シドリウスの舌が滑り込んでくる。
 先ほどのものとは比べものにならない口づけに、頭が痺れて何も考えられなくなった。
「ふっ、ふうぅ」

 このままでは息ができない。
 本能的に察知してシドリウスの逞しい胸を叩くと、ようやく解放された。

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