迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第2話 忌み子の日常
フィリーネはアバロンド伯爵家の次女としてこの世に生を受けた。母親譲りのストレートの金髪に、父親譲りの薄紅色の瞳をした可愛い赤子だった。
ところが、数分と経たないうちにフィリーネに変化が起きる。
太陽のように輝いていた金髪が一瞬にして老婆のような白銀色に変わってしまったのだ。
さらに、黒色に発光した紫の蝶がどこからともなく二匹現れ、赤子の周りを飛んでいる。
闇の精霊に祝福された瞬間だった。
当主であるハビエルは顔色を失い、恐れ慄いた。
アバロンド家は代々光の精霊に特化した精霊師を輩出する、オルクール王国唯一の光の精霊師一族だ。
光の精霊師は怪我や体力を回復する治癒の力を有しており、オルクール王国では稀有な存在として大切に扱われてきた。しかしその一方で、一族は問題も抱えていた。
それは数代に一人、闇の精霊師が誕生する家系だったのだ。
闇の精霊師は光の精霊師とは対極に位置する不幸の象徴として言い伝えられていた。その理由は光の精霊師の力を奪い、不幸を振り撒くと言われてきたからだ。
これはアバロンド家の人間にだけに語り継がれている内容で、外部に漏れないよう厳重に管理されている。