迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「お嫁様の髪は絹糸のようでございますね。とても綺麗でございますよ」
「えっ、そんなことないのでございますよ!?」
動揺してカロンと同じ言い方で答えてしまった。
まさか忌み子の象徴である白銀の髪を美しいと褒められる日が来るなんて。ハビエルやミリーネからは散々気味悪がられていたので驚いてしまう。
(きっとカロンさんはお世辞で綺麗だと言ってくれたのでしょうね。……でも、このワンピースは髪色に合っている気がします)
フィリーネは改めて姿見に映る自分をまじまじと観察する。
頬が自然と緩んでいて、浮かれているのがよく分かる。
「ありがとうございます。カロンさん、とても嬉しいです」
「どういたしまして。シドリウス様より支度を手伝うよう言いつけられております。お嫁様はこれから食堂でシドリウス様と朝食をご一緒するのでございますよ」
「ちょうしょく、朝食……あっ!!」
夢心地だったフィリーネはハッとする。自分の本分が何であるかを思い出したのである。
フィリーネはぐるりと後ろを振り返ると、カロンの両肩をガシリと掴んだ。
いきなりの行動にカロンは身体をびくりと揺らす。
フィリーネは必死の形相で訴えた。
「カロンさん、お願いがあります。食堂へ行く前に私を厨房まで連れて行ってください!!」