迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
前から思っていたが、あの美貌は目の毒だ。自分が生贄であると理解しているのにうっかりドキドキしてしまうから。
落ち着くよう胸を押さえていると、ヒュドーがテラス席にやって来る。
「いやはや、カロンが暴走しているみたいでごめんね」
どうやらヒュドーは興奮したカロンと廊下をすれ違ったらしく、半ば呆れている。
「あ、ヒュドーさん」
ヒュドーはため息を吐きながらカロンが座っていた椅子に腰を下ろし、スノーボールクッキーを食べ始める。使っていないグラスを持ってフィリーネがコーディアルを勧めてみるが、いらないと断られた。
「カロンは大人しくしていれば完璧なんだけどね。大人しくしていれば。ああなると、姉は誰にも止められないから」
「いえいえ、大丈夫です。…………え、お姉様ですか?」
フィリーネはここで初めて、ヒュドーとカロンが姉弟であると知った。
(まさか、二人が姉弟だったなんて。しかもエリンジャー公爵家の人だったなんて!)
今更の新事実にフィリーネは驚きを隠せない。